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2007年10月 4日 (木)

地震時の原発の停止操作…多重故障により大混乱の現場

10月2日に柏崎市で行われた設備健全性WG第2回会合では,委員による視察も行われました。発電所の見学の他に,発電所内にあるBWR訓練センターにおいて,2号機と4号機の当時の中央操作室の状況を再現するということも行われました。その後の会合での委員の発言や配付資料から,原子炉はすんなり止まったわけではなく,原子炉の冷却の過程で,機器の多重故障が起こる中で,相当の混乱状態にあったことが伺えます。

2号機で原子炉浄化系のポンプが一時止まり水位の上昇が続いた問題では,あのまま上昇が止まらずに続き,主蒸気管まで水位が達したら,逃し安全弁による冷却ができなくなってしまう,その場合には,冷却の手段が完全に失われるのではないか,その点どのように評価しているのか,との質問がありましたが,保安院は答えられませんでした。次回の宿題ということになりました。(以下は2号機の原子炉水位挙動:東電の資料より)

2goki

当日の資料で低圧炉心スプレイ系を起動した2号機の水位の上昇について、当直員の証言が掲載されています。

「スクラムの後、原子炉冷却材浄化系ポンプがトリップしたため炉水をブローダウン(液体廃棄物処理系に流すこと)できなくなり、制御棒駆動機構系統からの冷却水の流入により原子炉水位が上昇し、停止時水位計で2500ミリとなり、主蒸気配管に冠水する懸念があったため、主蒸気隔離弁全閉操作を実施した。」

「主蒸気隔離弁を全閉して、逃し安全弁で減圧操作したため、炉水の全体量が減少するため、原子炉の水位が下がるのを防止する観点から低圧炉心スプレイ系ポンプを起動し注入弁を全閉して炉水位を調性した。原子炉の水位がL8まで上がってしまい、隔離時冷却系が起動できない状態だった」

「タービンバイパス弁を10%開したところ、減圧沸騰により原子炉水位が急上昇」

「水位の調整に難儀していることが確認された」

「当直委員のAとBは、非常に激しい揺れだったので、制御棒の引き抜き操作を実施していた主盤にしがみついて揺れに耐えた」

また,4号機については,ボイラーの故障のせいで,3号機と4号機は同時に冷却することができず,究極の選択で,破損の大きい3号機を優先し,4号機は3号機の冷却が終わる翌朝まで順番待ちをしていたのですが,その判断についても是非が議論になっていました。浜岡で心配されている東海地震のように,大きな規模の余震が何度も発生する地震では,考えられない措置だと思います。(以下の図は上が3号機,下が順番を待った4号機の温度挙動,100度を下回ったのは翌朝6時になっていた:東電の資料より)

Junban34

複数の委員が強調していたのが,地震による多重故障を想定した訓練が行われたいないことの問題でした。何をいまさらという気もするのですが,単一故障の想定だけを義務づけている安全審査の基本的な考え方に疑問が呈されています。この日保安院が案を示した「地震発生時の安全確保の評価結果(震災直後の運転管理)」には以下の記述があります。

「地震を起因事象とした原子炉スクラムの訓練及び地震時の機器故障を想定した訓練は実施されている。具体的には,地震を起因として機器の単一故障を想定した訓練(例:地震により,制御棒が1本抜けた場合)であり,多重故障を想定した訓練は,実施しているが,今回の地震による原子炉スクラム発生後,複数の機器故障や機器操作判断が発生する多重故障(地震発生,原子炉スクラム,所内ボイラトリップ)についての訓練は実施されていない。代替冷却方法,水位確保の方法等,当直長の判断に係る訓練は実施されていない。」

以下は電気新聞から

「東芝、日立製作所、BWRを採用する電気事業者が出資するBWR運転訓練センターの新潟センターを訪問。センター職員4人が柏崎刈羽4号機の中央制御室を模擬したシミュレーターを使用し、2、4号機の地震発生直後の対応を再現した。WGのメンバーらは、アラームが鳴り響くなか、運転員がどのように対応したかを実際に近い形で体感した。」

「一方、会合では地震発生時の安全確保の評価結果として、震災直後の運転管理の考え方をまとめた。関係者のインタビューなどの調査も踏まえ、まずは安全機能が確保された点を評価。今後の教訓として、多重故障を踏まえた運転員の訓練のほか、非常時の人員を考慮した当直体制の整備や強化を指摘した。」

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マダラメ委員会健全性評価WGの危ない性格-第2回会合

10月2日マダラメ委員会(政府の地震調査委員会)の下にある管理運営・設備健全性評価WGが柏崎市で行われました。会合は11時から12時までと,視察を挟んで16時から17時までの2回に分けて行われました。今回の会合には,問題の小林英男氏は参加していなかったのですが,前回の彼の質問と保安院の回答が文書で示されました。このWGの危ない性格が現れていると思いますので以下にご紹介します。

問 経験した地震に対して,機器が実力としてどのような挙動をしたか,どのような応答をしたかについて確認する必要がある。どうして耐えたのか,塑性化すると強度は増す。規格にとらわれない実力値で評価するといった新しい視点をいれた評価を期待する。その結果が耐震基準,設計基準に役に立つ。(小林委員)

答 外観上特に損傷が認められない機器について,地震による応答が認可された工事計画上の耐震設計における許容応力を超える場合には,ご指摘のとおり,機器の実力としての評価を行う必要があると考えている。

柏崎刈羽原発では,S2の設計値を超えた揺れが観測されたのですが,許容値を持ちだして「安全余裕」に逃れるばかりか,許容値を超えて塑性変形の可能性があっても「実力」があるとして,再使用への道筋をつけようとしています。昨日の会合では,東電が再使用を考えながら点検していると言うと,保安院が,点検・評価と再使用問題は分けて議論したいと切り返す場面がありましたが,再使用をにらんでいることには変わりありません。

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