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2007年10月25日 (木)

福島県へ東電の「概略影響検討」と活断層評価について要請

柏崎刈羽原発における観測データによる福島第一・第二原発の概略影響検討結果報告書及び東京電力の活断層評価に関する要請書

福島県への要請書をダウンロード

2007年10月25日
福島県知事 佐藤 雄平様

脱原発福島ネットワーク
みどりと反プルサーマル新潟県連絡会
ストップ・ザ・もんじゅ東京
福島老朽原発を考える会

 東京電力は,9月20日に「柏崎刈羽原子力発電所における観測データを基に行う原子力発電所の主要施設への概略影響検討結果報告書」を提出し,「検討の結果からは,福島第一原子力発電所および福島第二原子力発電所の「止める」「冷やす」「閉じ込める」ための安全上重要な設備において,安全機能は維持されるものと考えております。」と結論しています。しかし,この検討では,適切ではない地震動を敢えて入力しています。また限られたやり方にしろ,その結果は,安全性が確認されるものではなく,それどころか福島第一および第二原発が,地震に対して非常に脆弱であり,危険な機器や配管が数多く存在することを示しています。
 また,中越沖地震についての専門家の調査により,東京電力がこれまで行った海底活断層の評価において「値切り」を行っていた事実や,原発立地地域の地殻変動評価を誤っていた事実が明らかになっています。東京電力の活断層評価は全く信用ができません。

1.「概略影響検討」では適切でない地震動を検討している

 東京電力は,柏崎刈羽原発の基礎版上で観測された床応答スペクトルを福島第一および第二原発の基礎版上の設計用の床応答スペクトルと比較検討しています。しかし柏崎刈羽原発の場合,基礎版と岩盤の間には200メートル以上の軟岩層があり,基礎版での観測された地震波は岩盤から減衰している上に,応答スペクトルは長周期側に卓越した形をしています。原発ごとの地盤の特性の違いを考慮するならば,耐震設計審査指針のやり方に従い、原発の基礎版上から出発するのではなく,岩盤の解放基盤表面における地震動から出発して検討すべきです。中越沖地震により,柏崎刈羽1号機の解放基盤表面に近い地下250メートルでは最大加速度993ガルが観測されています。解放基盤表面のはぎとり波は1000ガルを超えているでしょう。これの詳しい記録はメモリ不足で失われたとされていますが,東京電力は,サービスホールでの観測データや余震データを用いて,解放基盤表面の応答スペクトルを再現するとしています。これを福島第一および第二原発の解放基盤表面に入力し,それから基礎版上や各階の床応答スペクトルを導くのが原則的な方法ではないでしょうか。
 また,地震により機器や配管に生じる力等の応答値を知るには,その機器や配管のある階の床応答スペクトルについて検討が必要ですが,東京電力が今回行った評価はすべて,基礎版上の床応答スペクトルを用いています。その意味でも,今回の検討結果は信頼に足るものではありません。

2.福島第一・第二原発の地震に対する脆弱性が明らかに

 「概要影響検討」の限られたやり方からでも,福島第一および第二原発が地震に対し非常に脆弱であることが示されます。
 多くの機器・配管で,柏崎刈羽原発の基礎版上での応答値が,福島第一および第二原発のS2による応答値を上回りました。M6.8の中規模地震による揺れが,万が一のために想定した設計用限界地震から策定したS2の応答値をあっさりと上回ったことは,耐震評価の根本が崩れたことを意味するのではないでしょうか。
 さらに,検討結果によると,柏崎刈羽原発の基礎版上での応答値が,機器・配管が破損する限界であるS2許容値に迫るものも多く見られます。しかも,福島第一および第二原発の場合,β(=S2許容値/S2応答値)の算出にあたり,地震力だけをとりだして比をとっている機器・配管がいくつもあります。他の原発ではこのようなことは行われていません。これを他の原発と同様のやり方で計算し直すと,α(=柏崎刈羽原発の基礎版上での応答値/S2応答値)がβ(=S2許容値/S2応答値))を上回ってしまいます。東京電力はこれを避けるために,他の原発とは異なる計算方法を用いているのです。
 例えば福島第二4号機の主蒸気系配管は,βの算出にあたっては地震力だけで比をとった旨の注意書きがあり,α=2.51,β=3.27となっています。ここから,観測値が許容値を下回っていると評価しているのですが,これを他の原発と同様に,地震力以外の力も含めた形で比をとると,α=2.51,β=2.16となり,逆転してしまいます。
 このような箇所が他にもあり,しかもやり方を変えて計算しても,柏崎刈羽原発の基礎版上での応答値がS2許容値に接近しているのです。このことは,福島第一および第二原発が,地震に対し非常に脆弱であることを示しています。「安全余裕」などないのです。しかも東京電力が検討した部位は限られています。最も脆弱といわれる再循環系配管は検討の対象にはなっていません。現実には,許容値を上回る機器・配管が数多く存在するのではないでしょうか。
 また制御棒の挿入性については,福島第一1~5号機において、αがβを上回り,ステップ1において,許容値を上回ったという結果が出ています。柏崎刈羽原発7号機では,地震後の点検の際に,制御棒が抜けなくなるという事態が発生しています。

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(表はクリックすると大きくなります)

3.東京電力の活断層評価は全く信用できない

 東京電力は,中越沖地震を受けて,活断層の再調査と再評価を行うとしています。しかし,その前に問題とすべきは,東京電力がこれまで行った活断層評価において「値切り」を行っていた事実とその責任です。
 中越沖地震を起こしたとされる海底活断層について,中田広島工大教授ら変動地形学の専門家は,柏崎刈羽原発の沖合に36kmにも及ぶ海底活断層があるとし,これが,「東電の設置許可申請書(公開版)に掲載された資料から容易に推定されるものであるが、原発設計時には全く考慮されていなかった。」としています。東京電力は1980年頃に行った調査によりこの活断層を見つけていましたが,4つに切り刻んだ上で,長さ約1.5~8kmに縮め,評価対象から外していました。東京電力は,9月20日に行われた市民との交渉の場で,「1980年の当時は,しゅう曲やとう曲から活断層を推定する知見がなかった」と述べています。しかしこれを専門家に聞くと誰もが否定します。評価の対象外となる8km以下に故意に切り縮めたとしか考えられません。1994年に刊行された佐渡南方海洋地質図(地質調査所)では,この活断層の長さを25kmと評価し,東京電力はこれを2000年に認識していましたが,再調査を怠り,原子力安全委員会も指示を出しませんでした。
 また,陸域については,原発敷地での隆起と周辺の沈降が確認され,活しゅう曲の成長が確認されていますが,東京電力はこのしゅう曲を,最近では新指針に対応するため昨年からはじまった調査で再確認したばかりですが,しゅう曲は活しゅう曲ではない,「12~13万年前に形成された安田層以降の構造運動はない」と,9月20日の交渉の場でも断言していました。このような東京電力による活断層評価を信用することはできません。
 福島第一および第二原発で問題となる双葉断層について,東京電力は約70kmのうち,北側18kmしか活断層と認めていません。しかし東京電力が切り捨てた南端部で第二原発から近くでもM6.8の地震が記録されています。双葉断層が全面的に再活動すれば,計算上M7.9の大地震が発生するとされています。福島県沖の海底活断層についても「値切り」が行われている可能性があります。福島県沖地震は,M7.2~8.4の大きな規模で繰り返し発生しています。

 以上を踏まえ,以下の事項につき要請いたします。

要 請 事 項

1.9月20日付「概略影響検討結果報告書」は適切でない地震動による検討であるため,柏崎刈羽原発の解放基盤表面における地震動を用いて評価をやり直すよう,東京電力に要請してください。

2.限られた手法に基づく結果でも,福島第一および第二原発の多くの機器・配管において,柏崎刈羽原発での観測値が,S2の応答値を上回ったことは,従来の耐震評価の根本が崩れたことを意味します。直ちに原発を止めて福島第一および第二原発の耐震安全性評価をやり直すよう東京電力に要請してください。

3.限られた手法に基づく結果でも,福島第一および第二原発において,柏崎刈羽原発での観測値が,破損の限界を意味するS2の許容値に迫る機器・配管が存在し,検討部位が限られていることから,現実には許容値を上回る機器・配管が存在する可能性が示されました。このような機器・配管を持つ原発を直ちに止めるよう東京電力に要請してください。

4.東京電力の活断層評価は全く信用できません。再調査,再評価の前に,過去の活断層の「値切り」について事実関係と責任を明らかにさせてください。双葉断層や原発周辺および福島県沖の海底活断層の調査と評価については,原子力に関係しない機関が行うようはたらきかけてください。

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