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2007年11月28日 (水)

柏崎刈羽7号機の地震応答解析試算について-強引に許容値以下に収めるのはやめて設計時と全く同等な評価で判断せよ

11月28日に行われたマダラメ委員会下にある設備健全性評価ワーキンググループのサブワーキンググループの第2回会合で,東京電力は柏崎刈羽7号機について,「地震応答解析の試解析結果について」という資料を提出しました。試解析からわかることは,弾性限界の許容値と比較した場合には,中越沖地震により機器や配管に発生した応力は,許容値を超えてしまうのが必至であることと,東電はそれを「詳細解析」というマジックを使って,許容値以下になんとかかんとかねじ込もうとしていることです。他号機を含めた本格的な解析と評価は来年6月までかけるとのことです。

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9月の概略影響評価との違い

7号機の試解析をみると,9月に電力各社が他の原発や再処理工場で行った「概略影響検討」と異なる点がいくつかあります。9月が建屋基礎の応答スペクトルだけですべてを代表させていたのに対し,各階の観測記録を用いている(地震計がない階については解析したもの)こと,応答倍率の簡易評価だけでなく,詳細な解析評価を行っていること,それから決定的な違いは,機器や配管が破損,破壊してしまう限界点に対応した許容値ではなく,弾性限界の許容値と比較していることです。

原発の耐震設計では設計用最強地震から策定したS1と設計用限界地震から策定したS2の2つの基準地震動が用いられます。これらに対応する許容値は考え方が異なっており,S1に対しては,弾性限界の範囲内にあり,機器や配管が変形しても元に戻ることを要求しています。これは地震後に原発を再使用することを念頭においているのだと思います。鋼材では,弾性限界は降伏点とよばれ,これがそのまま,S1に対応する許容値となっています。これに対し,S1を上回るS2は,およそ起こり得ないが想定だけしておこうという地震動であり,これに対しては,弾性限界をこえて塑性領域に入り,機器や配管が元に戻らない変形やひずみを起こすことを許し,それでも破損や破壊まではいたらず,放射能の閉じ込め機能が維持されることを要求しています。許容値もS1に対する許容値より
も大きく(緩く)なっています。鋼材では,材料が延性破壊を起こす終局点の3分の2の値で定められています。

9月の評価で電力各社は,柏崎刈羽原発以外の原子力施設について,破損や破壊を引き起こす限界に対応した許容値以下であるかどうかが問題にしました。しかし,柏崎刈羽原発では再使用が問題になっていますので,比較する相手は,弾性限界の許容値です。

許容値以下にねじ込もうと必死

Sisan1

今回東電が出してきた試解析からわかることは,弾性限界の許容値と比較した場合には,中越沖地震により機器や配管に発生した応力は,許容値を超えてしまうのが必至であることと,東電はそれを「詳細解析」というマジックを使って,許容値以下になんとかかんとかねじ込もうとしていることです。ねじ込もうと必死になっていることが伝わるのが,資料の6ページ目にある図です。左からたどると,まず応答倍率法による簡易評価を行う,それでも許容値を超えてしまったら,設計時と同等な評価を行う,それでも許容値を超えてしまったら減衰定数をいじって小さくしてしまう,それでも収まらなかったら時刻歴解析を行って小さくしてしまう,それでも収まらなかったら解析コードをいじって小さくしてしまう…と続きます。常識的に考えれば,2番目の設計時と同等な評価を行って許容値を超えてしまったらその時点でアウトとすべきでしょう。

逆に許容値を超えたことが明らかに

Sisan2

では7号機の試解析の結果はどうだったのか。東電が今回評価した対象は,9月と同様に原子炉圧力容器,炉心支持構造物,残留熱除去系配管,残留熱除去系ポンプ,主蒸気配管,原子炉格納容器の6か所しかありません。再循環系配管の分岐部やノズル部はありません。結果をみると,どれも算出応力は弾性限界の許容値を下回っており,OKに見えます。7号機は7機の中では最も揺れは小さく,水平方向については,S2による設計値とほとんど変わりません。上下動については,設計を大きく超える揺れが観測されています。特にきびしいのが配管系です。評価結果の表をよくよくみると,残留熱除去系配管と主蒸気系配管については,評価B2となっており,脚注をみると,「減衰定数は試験研究等により妥当性が確認された値を適用」とあります。すなわち設計時と全く同等な評価ではないのです。これは先ほどの6ページ目の資料と比較すると,設計値と全く同等な評価を行ってダメだったから次の段階に進んだということであり,すなわち,設計時と全く同等な評価では許容値に収まらないということを意味します。

設計時と全く同等な評価で判断せよ

「減衰定数」をいじって許容値以下に収めるというのは,中部電力も浜岡原発の新指針対応評価で使った手です。このようにして強引に許容値以下に収めようとしています。それでも収まりきらない場合は補強工事で再使用の道をさぐろうとしています。昨日の会合でも小林英男氏は補強工事を積極的に行うようにと発言していました。

今後,7号機よりも大きな揺れを観測した1~4号機を含め,解析を行うとのことですが,私たちとしては,設計時と全く同等な評価を行うこと,それにより少しでも弾性許容値を超えた場合は,強引に収めるようなことはやめ,その時点でもう再使用しないとすることを要求したいと思います。

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