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2007年12月 7日 (金)

東電がこっそりやっていた活断層評価…値切らなくても今回の地震を再現することはできなかった~耐震設計小委員会合同WGを傍聴して~

12月5日に耐震設計小委員会の合同WGが開催されました。東電より,過去の活断層評価の誤りを認める報告がなされ,そのように報道されています。

ポイントは2点あると思います。

活断層見落としはやむを得なかったというのは本当か????

1点は、東電が1980年代に行った海底地形調査と活断層評価について、その当時の知見では、活断層の見落としがあったことはやむを得なかったとしている点に変わりはないことです。断層関連褶曲について2000年の岡村論文が出るまでは、褶曲と断層とを別物として評価していて,それはしかたなかったという姿勢でいます。この点については、国の審査ともどもまだまだ問題にすべきだと思います。電力への指南と国の審査の両方を行っていたという衣笠某委員は欠席でした。

東電の報告資料
http://www.tepco.co.jp/tepconews/images/071205a.pdf
11ページあたりから。岡村論文については20ページ。

こっそりやっていた活断層評価…値切らなくても今回の地震を再現できなかった

もう1点は、2003年6月に、F-B断層を20kmとした評価を実は行っていて、それを隠していたという点です。隠していたことはもちろん問題ですが、その評価結果も問題です。産総研に合わせて断層の長さ20kmとし,M7,震央距離18.5kmの条件で大崎の方法により応答スペクトルを引いています。応答スペクトルはS2の応答スペクトルを全体的に下回っており,だから当時特に問題にしなかったということです。

東電の報告資料
http://www.tepco.co.jp/tepconews/images/071205a.pdf
解析条件は22ページ。大崎スペクトルは23ページ。

この事実は,仮に東電が活断層の「値切り」をやらずにまっとうに評価していたとしても,今回の地震を再現することができなかったことを意味するのではないでしょうか。地震動の評価手法の問題です。大崎の方法の過小評価が改めて示されるということでしょうし,じゃあ断層モデルなら再現できたのかという点についても問題になるのではないでしょうか。

以下新聞記事情報です。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071205-00000150-mai-soci

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<柏崎刈羽原発>「活断層」認める報告書 東電が異例の撤回/毎日新聞

 東京電力は5日、新潟県中越沖地震を引き起こした断層の可能性が指摘される「FB断層」について、柏崎刈羽原発の設置許可申請当時(88年)の見解を改め、「活断層である」と認める内容の報告書をまとめ、経済産業省の作業部会で報告した。東電は03年に、この断層が活断層である可能性を既に認識していたというが、中越沖地震を受けて活断層と断定した。電力会社が活断層の評価を完全に撤回し、公表するのは極めて異例だ。

 東電によると、設置許可申請時、文献調査や海上音波探査などからFB断層は長さ7~8キロで、地形が複雑に変形した「しゅう曲構造」はあるが、5万年前以降の地層をずらしていないため、活断層とは評価していなかった。ところが00年に、しゅう曲構造と活断層の関係を認める論文が専門家から出されたため、国の指示で再評価した結果、FB断層は長さ20キロの活断層である可能性があるとの文書をまとめ、03年に国に提出した。中越沖地震を受け、海域の音波探査を詳細に実施したところ、長さ約23キロの活断層であると断定した。

 03年当時、FB断層が活断層である可能性を公表しなかったことについて、東電は「FB断層を活断層として評価しても、原発の耐震基本設計に影響を与えないとの結果が出たため、あえて公表しなかった」と話している。【河内敏康】

 ▽渡辺満久・東洋大教授(変動地形学)の話 しゅう曲構造があるにもかかわらず、地層をずらしていないとの理由から活断層でないと評価するのはかなり特殊な見方で、あり得ない。80年当時の文献でもしゅう曲構造と活断層の関係を認めているのに、なにを今さらといった感じだ。同じ理屈で他の原発でも見落としがあるかもしれないので調べ直すべきだ。

 ◇耐震設計の信頼性を根底から揺るがす事態

 新潟県中越沖地震の震源だった可能性が指摘されている海底の断層について、柏崎刈羽原発建設時に「活断層でない」としていた東京電力が、活断層だったことを認めた。活断層の過小評価は、耐震設計の信頼性を根底から揺るがす事態だ。

 活断層が過小評価されていた例は他にもある。今年3月の能登半島地震では、北陸電力が三つに分かれているとしていた断層が一体となって動いて発生した。同社はこのうち1本については「活断層ではない」としていたが、専門家からは「通常なら1本のつながった活断層として評価する」との声が上がっていた。中国電力島根原発を巡っても、同社が長さ10キロとする原発近くの宍道断層について、広島工業大の中田高教授が「長さは20キロ」との調査結果を発表している。

 毎日新聞が昨年、全国の原発周辺にある活断層のうち、国の地震調査研究推進本部(推本)の調査対象になった17断層について、電力会社の調査結果と比較したところ、15断層で電力会社の方が想定地震を小さく見積もっていた。柏崎刈羽原発に近い長岡平野西縁断層帯についても、推本の調査ではマグニチュード(M)8の巨大地震が想定されたが、東京電力の想定はM6.9だった。

 原発が想定外の揺れに襲われる事態は、東北電力女川原発で03年と05年の2回、能登半島地震で志賀原発、中越沖地震で柏崎刈羽原発と、既に4回に達した。各電力会社は今、昨年9月に改定された国の原発の耐震指針に基づき、耐震性のチェックを進めているが、活断層の過小評価を繰り返すことは許されない。十分に安全側に判断して耐震性の評価を進めない限り、国民の原発の耐震性への不安は解消できない。【鯨岡秀紀】

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コメント

はじめまして。
断層だけでなく、文書に記録されている歴史地震が過小評価されていた事例の一つが、1983年の日本海中部地震です. 
 東大地震研究所の宇佐美龍夫氏は、秋田では津波の心配はないと報告書に再三、書いています.
 歴史地震の大きさも、過小に評価しています.

投稿: yuzou | 2008年6月 3日 (火) 15時53分

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