2009年11月23日 (月)

新たな3件の保安規定違反と3度目の高レベル廃液漏洩事故を受けての国の審議会委員への要望書

六ヶ所再処理施設総点検に関する検討会委員の皆様への要望書
新たな3件の保安規定違反と3度目の高レベル廃液漏洩事故は、
これまでの保安院の対応が誤っていたことを、事実をもって示しました

日本原燃の再処理事業者としての適格性を根本的なところから問題にしてください

六ヶ所再処理施設総点検に関する検討会
主査 神田 啓治 様

2009年11月23日
再処理とめたい!首都圏市民のつどい

要望書(PDF)をダウンロード

 日本原燃は、10月22日、六ヶ所再処理工場において、3度目の高レベル廃液漏洩事故を起こしました。また、原子力安全・保安院は、11月9日、9月7~18日に行われた同工場に対する第2回保安検査にて、新たに3件の保安規定違反が確認されていたことを公表しました。

品質保証体制に重大な欠陥を抱えたままでの事業の継続が今回の事故と違反をもたらした

   昨年12月から今年2月にかけて犯された5件の保安規定違反は、約149リットルもの高レベル廃液大量漏洩事故とその後の固化セル内洗浄作業でのセルの壁の隙間への高レベル廃液の浸入事故をもたらしました。保安規定に基づかない組織によりガラス固化試験を進めるなど、再処理事業部長ら上位幹部自身が端から保安規定を遵守して作業を行うという基本認識がなく、5件全てが、上位幹部が直接的に関与する形で犯されました。極めて厳重な管理が要求される高レベル廃液を、保安規定を遵守する意識すらない管理体制で取り扱い、漏洩させたという、再処理事業者としての資格そのものが問われる違反であったにもかかわらず、保安院は原子炉等規制法に基づく何らの強制権限も発動せず、4月30日付の原燃の報告書(以下4・30報告書)をそのまま受け入れました。4・30報告書は、上位幹部の責任を明らかにすることもなく、専ら、中間管理職とのコミュニケーション、手順書、教育を充実させるとするだけでした。その結果、原燃の組織的欠陥はそのまま温存され、6月には協力会社の作業員の皮膚に放射性物質を付着させる事故を2回も起こし、7月から8月にかけては線量計を携帯せずに管理区域に入らせる等管理区域への入域管理に係る違反を3回も犯しました。6月6日の皮膚汚染事故と8月11日の線量計不携帯の違反は、1月の高レベル廃液漏洩事故の復旧作業の中で発生しています。今回の保安検査報告書では、6月6日の事故が、作業計画が極めていい加減であったことから発生したことがより一層明らかになりました。そして、前回からわずか半年後に3件もの保安規定違反を再犯するという事態に至ったのです。
 3件全てが、マニュアルすら守れないという組織的欠陥が改善されていないことを示しました。特に、分離建屋搭槽類廃ガス処理設備廃ガス洗浄塔入口圧力高警報を「設備に求められる状態」外に移行させた場合に要求される措置の未実施という違反については、前回の保安規定違反のうちの2件が、「設備に求められる状態」を満足しないおそれのある事態が発見された時の措置の未実施という違反であったにもかかわらず、同種の違反を繰り返したことになります。設備が不正常な状態に陥った時にまともな措置が取れない、違反を犯し反省したと言いながらも一向にそのような杜撰な品質保証体制を改善することができない組織的欠陥を如実に示しています。
 さらに、保安院は新たな3件の保安規定違反を9月に確認しながら、11月9日に至るまで報告書提出指示すら出しませんでした。その結果、原燃は10月16日に固化セル内洗浄作業を再開し、その洗浄作業に係る準備作業の最中に3度目の高レベル廃液漏洩事故を起こしました。保安院が、保安規定違反の再犯を確認し次第、事業の停止を命じていれば3度目の事故は起こらなかったのです。3度目の事故は、パワーマニピュレータを遠隔操作していた社員が、補助ホイストチェーンにつり下げていた機器に気を取られて、閉止フランジに気づかず、衝突させてしまったことにより起こったとされていますが、このようなミスは作業計画・体制がまともなものであれば防げたはずです。前回の保安規定違反のうち2件が保修作業実施計画を未作成のまま安全上重要な施設の安全機能に係る保修作業を行ったという違反でしたが、杜撰な作業計画・体制が全く改められていないということを示しています。高レベル廃液が供給槽Aから供給配管に移送された原因も分からないという、今もなお高レベル廃液管理能力が欠如した非常に危うい状態で事業が続けられていることも明らかになりました。さらに、原燃は11月18日、低レベル廃棄物処理建屋(DA建屋)にて、協力会社の作業員が他人の個人線量計を誤着用して管理区域に入域するという、入域管理に係る違反をまたしても犯しました。保安院が、度重なる事故や違反に対して極めて甘い対応しか取らないことが、さらなる事故や違反を続出させていると言わざるをえません。
 貴検討会も、7月9日に行われた第30回会合にて、4・30報告書の内容を審議し了承しましたが、続出する事故と違反を見れば、4・30報告書で出された対策はまるで機能していないことは明らかです。貴検討会にもこれらの事故と違反に対する責任があると言わざるをえないのではないでしょうか。

放射性廃棄物の「仮置き」の常態化は炉規法違反

 また、原燃は、9月7日付報告書(以下9・7報告書)にて、使用済燃料受入れ・貯蔵施設(F施設)において、200リットルドラム缶約8100本分の「使用済燃料によって汚染された物」を容器に封入せずビニール袋むき出しのまま、通路等に「仮置き」という名目で長期間放置し続けているという事実を公表しました。9・7報告書では、「仮置き」は2001年7月から開始され、2003年以降「仮置き」状態が継続、常態化したとされています。この6~8年にもわたる放置は、「容器に封入し、または容器に固型化して放射線障害防止の効果を持った保管廃棄施設に保管廃棄する」等の措置を取っていなかったということであり、「使用済燃料の再処理の事業に関する規則」第16条と炉規法第48条に違反しています。また、「仮置き廃棄物」の数量管理を実施していなかったため、放射性廃棄物の総量がいつ第1低レベル廃棄物貯蔵建屋(FD建屋)の保管廃棄能力を超えたのかということすら特定できていないという事実も明らかになりましたが、これは「放射性廃棄物に含まれる放射性物質の数量」を記録しなければならないとする同規則第8条と炉規法第47条に違反しています。これらは事業者としての信頼性を失墜させる違反であり、炉規法第49条に基づき、施設の使用停止が命じられるべきであると考えます。さらに、この「仮置き」は保安規定違反とされて然るべきであり、炉規法第46条の7第2項に基づいて、事業指定取り消しまで問題とされるべきであると考えます。再処理事業部長の指示で「仮置き」が行われてきたこと、社長も品質保証室も「仮置き」の事実を知っていながら、誰も是正しようとしなかったことは、原燃の組織全体に染みついた品質保証体制の欠陥を示しています。
 保安院は、今年8月31日になって初めて、「仮置き」の事実を公表し、原燃に対して改善するよう文書にて指示しました。しかし、保安院は、2001年9月の保安検査の時から「仮置き」の事実を把握しており、それ以降約8年間、保安検査の度ごとに「仮置き」が常態化しており、そのエリアが拡大され続けているのを見続けながら、公表もせず、原燃と共に放置し続けてきました。また、今回の保安検査ではビニール袋の破損やルーズな防火対策が確認されており、原燃と保安院がこれまで如何に杜撰な形で放射性廃棄物を放置してきたのかがより一層明らかになっています。また、原燃は、「仮置き廃棄物」の量がFD建屋の保管廃棄能力を超えたと推定されている2006年頃以降も、再処理施設本体が竣工すればDA建屋に持ち出すことができるとして、ガラス固化試験などで事故やトラブルが続出し、竣工に具体的な見通しが立たない状態にありながら、新しい貯蔵建屋を建てる等の抜本的な措置をとりませんでしたが、保安院もそれを容認し続けました。そして、来年になるまで「仮置き」状態は解消されないにもかかわらず、保安院は、現在も使用済燃料の新規搬入を行わせ続け、それに伴い放射性廃棄物の量が増大することをよしとしています。保安院は、この「仮置き」問題に対する措置も、報告書を提出させるだけに止め、「仮置き」状態が順次解消されさえすればよいとしています。
 貴検討会は、F施設等での漏洩事故と、291箇所もの「計画外溶接」の発覚を受けて2003年8月に設置されました。貴検討会と保安院は、2004年3月に原燃の「再処理施設品質保証体制点検結果報告書」を承認し、施設の健全性の確認が全く不十分なまま、また、品質保証体制に欠陥を抱えたまま、原燃が事業を継続することをよしとしました。しかし、貴検討会が設置され、同報告書を承認した時から、F施設での漏洩事故の補修工事のため放射性廃棄物が大量に発生し、「仮置き」エリアは拡大され続けていたのです。貴検討会も「仮置き」を常態化させたことに対する責任を負っています。

安易に報告書を承認するのではなく、原燃の再処理事業者としての適格性を根本的なところから厳しく問題にする必要がある

  11月9日に出した保安院の措置はまたしても報告書提出指示に止まっています。しかし、前回の保安規定違反に対する措置を報告書提出指示のみに止めたことと、極めて不十分な内容の4・30報告書をそのまま受け入れたことにより、その後も事故と違反が続出し、挙句の果てには、わずか半年から8ヶ月強の間に保安規定違反と高レベル廃液漏洩事故の両方の再犯が起こったのです。報告書を提出させ、その上で改善状況を確認するというこれまでの対応では、一向に品質保証体制は改まらないということを明確に示しています。前回の保安規定違反も炉規法第46条の7第2項に基づく事業指定取り消しが問題とされるべき極めて重大な内容であり、そのような違反を犯してもなお品質保証体制は全く改められることなく、保安規定違反を再犯した以上、原燃に事業を継続させることが許されるのかどうかが、今まさに真正面から問われていると考えます。
  貴検討会は原燃の品質保証体制を厳格に点検する責任を負っています。貴検討会第31回会合では、保安院の指示により原燃が11月24日までに出す報告書の審議が行われると報道されています。原燃は、報告書の提出後、固化セル内洗浄作業を再開しようとしていると思われます。しかし、品質保証体制がまるで改善されていない状態での、漏洩した高レベル廃液で汚染まみれになった固化セルにおける作業再開は、また新たな事故や違反を続出させることになりかねません。安易に報告書を承認するのではなく、何度報告書を出しても品質保証体制がまるで改善されず、事故と違反を繰り返す現状を直視し、原燃の再処理事業者としての適格性を根本的なところから厳しく点検していただくことを強く要望いたします。また、原燃の違反を放置する保安院の規制当局として極めて不適格な対応についても厳しく問題にしていただきたいと考えます。

要 望 事 項
1.貴検討会第30回会合にて日本原燃の4月30日付報告書の内容を承認したことは誤りであったとの認識の上に立ち、日本原燃の再処理事業者としての適格性を根本的なところから問題にしてください
2.日本原燃の品質保証体制の欠陥が抜本的に改められたことが確認できるまで、固化セル内洗浄作業の再開をはじめアクティブ試験再開に向けた一切の作業を認めないでください
3.原子力安全・保安院の日本原燃への規制当局として極めて不適格な対応を厳しく問題にしてください

再処理とめたい!首都圏市民のつどい
<連絡先>
〒162―0825 東京都新宿区神楽坂2―19銀鈴会館405号
福島老朽原発を考える会気付
TEL 03―5225―7213   FAX 03―5225―7214

六ヶ所再処理施設総点検に関する検討会委員リスト

2009年7月9日第30回検討会配布資料に基づいて作成

http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g90709a09j.pdf

●神田 啓治
◇主査
〒598-0048 
大阪府泉佐野市りんくう往来北1番 りんくうゲートタワービル14階
エネルギー政策研究所 所長
TEL 072‐460-1410  FAX 072-460-1430

●井川 陽次郎
〒100-8055
千代田区大手町1-7-1
読売新聞東京本社 論説委員
TEL03-3242-1111(代)  FAX03-3216-7746(読者センター)
https://app.yomiuri.co.jp/form/

●大島 まり
〒153-8505
東京都目黒区駒場4丁目6番1号 De505
東京大学 生産技術研究所 教授 
TEL03-5452-6205 (内線56205)

●小川 輝繁
〒103-0025
東京都中央区日本橋茅場町3-5-2 アロマビル6F
財団法人総合安全工学研究所 専務理事
TEL03-3668-5861  FAX03-3668-5861
https://ver.primehs.net/~wacgu000/sslmf/riseginza.htm

●北村 正晴
〒980-8579
宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉6-6-10
東北大学 未来科学技術共同研究センター 客員教授 
TEL022-795-4006  FAX022-795-4010(北村研究室)
https://ssl.niche.tohoku.ac.jp/contact.php

●黒川 明夫
〒105-0012
東京都港区芝大門二丁目10番12号秀和第三芝パ-クビル
財団法人発電設備技術検査協会
ISO審査登録センター 主任審査員
TEL03-5404-3877  FAX03-5404-3882

●小林 英男
〒240-8501
神奈川県 横浜市 保土ヶ谷区常盤台79-5
横浜国立大学
安心・安全の科学研究教育センター 教授 
TEL045-339-3776  FAX045-339-4294

●杉山 俊英
〒319-1195
茨城県那珂郡東海村白方白根2番地4
日本原子力研究開発機構
安全研究センター 副センター長 
TEL029-282-5100(代表) FAX029-282-6111

●竹下 功
〒105-0001
東京都港区虎ノ門4-1-20田中山ビル8階
社団法人日本技術士会 参与 
TEL03-3459-1331(事務局)FAX03-3459-1338(事務局総務部)
https://www.engineer.or.jp/webmaster00.html

●仁田 周一
〒194-0215 
東京都町田市小山ヶ丘4-6-8
サレジオ工業高等専門学校 専攻科 教授 
TEL042-775-3020(代) FAX042-775-3021

●松本 史朗
◇核燃料サイクル安全小委員会委員長/同再処理WG主査
〒105-0001
港区虎ノ門3丁目17番1号TOKYUREIT虎ノ門ビル
原子力安全基盤機構 技術顧問 
TEL03-4511-1111(代) FAX03-4511-1297(広報)
http://www.jnes.go.jp/toiawase/index.html

●山中 伸介
〒565-0871
大阪府吹田市山田丘2-1
大阪大学大学院
工学研究科環境・エネルギー工学専攻 教授 
TEL06-6879-7904  FAX06-6879-7889

●和気 洋子
〒108-8345
東京都港区三田二丁目15-45
慶応義塾大学商学部 教授
TEL03-5427-1558 

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2009年4月26日 (日)

経産大臣宛の質問・要望書の提出団体になってください

玄海・伊方・浜岡原発へのMOX燃料の装荷を許可しないでください

原発現地を核のゴミ捨て場にするプルサーマル計画を凍結してください

5月後半に、プルサーマル用のMOX燃料が日本に到着します。MOX燃料の装荷を止めるために、質問・要望書の提出団体になってください。

暫定的なしめ切り:5月12日頃(国との交渉日が決まれば、正式なしめ切り日を示します)

ご連絡はこちらへ mihama@jca.apc.org  FAX: 06-6367-6581

(この質問・要望書の連絡団体は、グリーン・アクション/美浜の会/福島老朽原発を考える会/原子力資料情報室です。)

<質問・要望書(PDF版)>   

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2009年4月14日 (火)

5つもの極めて重大な保安規定違反に関する保安院への要望書

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2009年3月29日 (日)

莫大な量の放射能が行方不明のまま、事故原因も不明なまま、ガラス溶融炉の再加熱を行うな!

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2009年3月 5日 (木)

3・22STOP再処理LOVE六ヶ所デモ・パレード

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2009年2月28日 (土)

3/3 STOP!再処理 ミニ学習会

日時:2009年3月3日(火)18:30~21:00

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2009年2月27日 (金)

2月25日、保安院に高レベル廃液漏洩事故への抗議のアピール行動

2月25日、再処理とめたい!首都圏市民のつどいは、毎月第4水曜日定例の経産省別館前行動を行いました。約20人の人々が集まり、高レベル廃液大量漏えい事故に抗議するアピールとビラまきを行いました。

共同行動ニュース(当日配布したビラ。PDF)をダウンロード

1月9~21日、2月1日 高レベル放射性廃液大量漏えい事故に抗議します!

明らかにされているだけで約300兆ベクレルもの放射能が行方不明のまま

行方不明のセシウム137は六ヶ所再処理工場の年間放出量の約1.6万倍

国は六ヶ所再処理の事業指定を取り消してください

すさまじい量の放射能が漏えい
六ヶ所再処理工場の高レベル廃液ガラス固化建屋において、事業者の日本原燃は、1月9日から21日までの13日間に、計約149リットルもの高レベル放射性廃液の漏えい事故を起こしました。高レベル放射性廃液貯槽で厳重に管理しておくべき廃液が、知らない間に配管を通って、ガラス固化体を製造する部屋(セル)で漏えいし続けたのです。11日後の2月1日にも再び同じ箇所から高レベル放射性廃液の漏洩事故を起こしました。
高レベル放射性廃液は、再処理の過程で生み出されるもので、その放射線は、強制冷却を続けなければ溶液自体が容易に沸騰してしまうような強さであり、強い放射線の作用で水が放射線分解し、爆発事故を起こすレベルの水素が発生するため、常に掃気し、水素濃度を一定以下に抑制しておかなければなりません。
 そのような恐ろしいものが漏えいしたということそのものが大問題です。しかも漏えいした約149リットル中、約17リットルしか回収されておらず、残り約132リットルは蒸発したとされていますが、行方不明のままです。事故を起こした高レベル放射性廃液貯槽(供給槽A)内の放射能濃度は、セシウム137で約36億ベクレル/mlと非常に高く、行方不明のセシウム137の放射能量は、六ヶ所再処理工場からのセシウム137の大気と海への年間放出量170億ベクレルに対して、その約1.6万倍にもなります。漏えいした高レベル放射性廃液の放射能量は、濃度が公表されている3つの放射性物質(セシウム134/137、ユウロピウム154)だけで約586兆ベクレルです。公表されていないストロンチウム90、ルテニウム106などを含めればさらに大きな数字になるはずです。日本原燃は、高レベル放射性廃液内の全ての放射性物質の濃度を公表すべきです。

080202

行方不明の放射性物質の所在を全て明らかにせよ
   事故を起こしたセルの中で発生した気体は、 換気設備を通って主排気筒から放出されます。日本原燃と原子力安全・保安院は、事故による「周辺環境への影響はなかった」としていますが、これだけ大量の放射能が漏えいし、その大部分が行方不明の状態にあるのですから、気化した多くの放射能が外部に放出された可能性は否定できません。日本原燃は、換気設備のフィルターで回収された放射性物質とその量、セル内全体を汚染しているとみられる放射性物質の所在と量を調査、公表すべきです。主排気筒等のモニタで検出可能な核種も公表すべきです。

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12日以上も漏洩を止めることができなかった
 事故発生直後から供給槽Aの液位は大幅に低下していたにもかかわらず、日本原燃は、3日後の12日になるまで、液位の低下に気づきませんでした。1月15日から各種警報が何度も鳴り始め、漏えい液の流れ込む受皿の液位と温度が上昇し、液位上昇の注意報・警報が繰り返し鳴っても、受皿内の廃液の調査をしませんでした。漏えいが分かったのは12日も後でした。その後も、重要度の低い「事象」として扱い、翌日朝になるまで公表しませんでした。あまりにもずさん極まりない高レベル放射性廃液管理の実態が明らかになりました。

同じ事故を繰り返す日本原燃の絶望的な体質 
原燃は1回目の事故に対する報告を出したわずか2日後に2回目の事故を起こしました。2回目の事故は、配管に高レベル廃液が再び流れてくることはないだろうと決めつけて、配管内部に残留している高レベル放射性廃液を確認することもなく、前回漏えいを起こした配管のフタを再びいい加減に取り付けていたことから起こったとされています。

2・24原燃報告書――行方不明の放射能の所在は全く明らかにされていない 
日本原燃は、2月24日に、1月30日と2月10日に出した事故報告書のそれぞれの改訂版を出しました。漏洩し始めてから1ヶ月半、漏えい発見から数えても1ヶ月以上も経っていながら、行方不明の高レベル放射性廃液の所在も全く分かっておらず、供給槽A内の廃液が配管に移送された原因も曖昧なままであることが明らかになりました。事故の実態もつかまずに、汚染されたセル内の洗浄だけはせっせと行っています。
また、報告書は、これまで高レベル放射性廃液、プルトニウム濃縮液などの超危険な貯槽でさえ、常時監視を行っていなかったこと、漏えい液受皿の液位が上昇した時の対処の手順も決めていなかったことなど、全くいい加減な管理の実態を明らかにしています。

これだけの事故を起こしながら炉内洗浄設備の新設を申請
 原燃は18日、ガラス溶融炉が白金族元素堆積による目詰まりで全く使い物にならない事態に対処することを目的に、ガラス固化建屋に、模擬廃液を炉内洗浄用に供給する設備を設置するための変更認可申請を行いました。昨年10月に大量の白金族を含む不溶解残渣廃液を初めて投入した直後から通常運転できない状態に陥り、どれだけ洗浄や撹拌を繰り返しても回復せず、撹拌棒を曲げ、炉内を損壊し、高レベル廃液の大量漏洩事故まで起こしました。これらの事態のどれ一つに対しても原因や対策を出せていません。そうであるにもかかわらず、高レベル廃液で汚染されたセルの中にやみくもに設備を設置し、欠陥だらけの損傷したガラス溶融炉を使い続けようとしているのです。

国は原燃への事業指定を取り消せ!
 2月12日の原子力・安全保安院ヒアリングの場で、保安院は、今回の事故を法令報告対象としないこと、即ち事故・故障として取り扱わないことを、口頭での指示のみの甘い対応に止めることを明らかにしました。「爆発防止の機能を喪失し、又は喪失するおそれがあった」(再処理の事業に関する規則)事故を起こしたという認識はまるでありませんでした。出口の排気筒モニタさえチェックしていれば、途中のフィルタ等で捕集された放射性物質の測定を行う必要はない、すなわち行方不明の放射性物質は所在が分からないままでよいという見解を示しました。
2月24日の改訂版報告書で原燃は、事故を起こした「組織要因の分析」を行い別途報告書を取りまとめるとしています。国はこれまで原燃の杜撰な組織体質を許してきました。国には、今回の事故を発生させたことに重い責任があります。原燃には再処理工場を管理する資格は全くないことを認めるべきです。国は、今回の事故の重大性を深刻に受け止め、高レベル放射性廃液の管理能力皆無の原燃への六ヶ所再処理事業に対する事業指定を直ちに取り消すべきです。

(2009年2月25日 再処理とめたい!首都圏市民のつどい)

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2009年2月13日 (金)

1月9~21日、2月1日 高レベル放射性廃液の大量漏えい事故に抗議する!

2月12日、経産省別館前にて、高レベル廃液漏えい事故に抗議するアピール行動を行いました。配ったビラのダウンロードはこちら。

「090212ビラp1.pdf」をダウンロード

「090212ビラp2-3.pdf」をダウンロード

「090212ビラp4.pdf」をダウンロード

明らかにされているだけで約586兆ベクレルもの放射能が漏えい!
明らかにされているだけで約300兆ベクレルもの放射能が行方不明!
行方不明のセシウム137は六ヶ所再処理工場の海と空への年間放出量の約1.6万倍!

国は事業指定を取り消せ!六ヶ所再処理工場を閉鎖せよ!

すさまじい量の放射能が漏えい
  六ヶ所再処理工場の高レベル廃液ガラス固化建屋において、事業者の日本原燃は、1月9日から21日までの13日間に、計約149リットルもの高レベル放射性廃液の漏えい事故を起こしました。高レベル放射性廃液貯槽で厳重に管理しておくべき廃液が、知らない間に配管を通って、ガラス固化体を製造する部屋(セル)で漏えいし続けたのです。11日後の2月1日にも再び同じ箇所から高レベル放射性廃液の漏洩事故を起こしました。
 高レベル放射性廃液は、再処理の過程で生み出されるもので、その放射線は、強制冷却を続けなければ溶液自体が容易に沸騰してしまうような強さであり、強い放射線の作用で水が放射線分解し、爆発事故を起こすレベルの水素が発生するため、常に掃気し、水素濃度を一定以下に抑制しておかなければなりません。
 そのような恐ろしいものが漏えいしたということそのものが大問題です。しかも漏えいした約149リットル中、約17リットルしか回収されておらず、残り約132リットルは蒸発したとされていますが、行方不明のままです。事故を起こした高レベル放射性廃液貯槽(供給槽A)内の放射能濃度は、セシウム137で約36億ベクレル/mlと非常に高く、行方不明のセシウム137の放射能量は、六ヶ所再処理工場からのセシウム137の大気と海への年間放出量170億ベクレルに対して、その約1.6万倍にもなります。漏えいした高レベル放射性廃液の放射能量は、濃度が公表されている3つの放射性物質(セシウム134/137、ユウロピウム154)だけで約586兆ベクレルです。公表されていないストロンチウム90、ルテニウム106などを含めればさらに大きな数字になるはずです。日本原燃は、高レベル放射性廃液内の全ての放射性物質の濃度を公表すべきです。

行方不明の放射性物質の所在を全て明らかにせよ!
 事故を起こしたセルの中で発生した気体は、換気設備を通って主排気筒から放出されます。日本原燃と原子力安全・保安院は、事故による「周辺環境への影響はなかった」としていますが、これだけ大量の放射能が漏えいし、その大部分が行方不明の状態にあるのですから、気化した多くの放射能が外部に放出された可能性は否定できません。日本原燃は、1月9日からの全ての放射能測定データ、換気設備のフィルターで回収された放射性物質とその量、セル内全体を汚染しているとみられる放射性物質の所在と量を調査し、公表すべきです。

12日以上も漏洩を止めることができなかった
 事故発生直後から供給槽Aの液位は大幅に低下していたにもかかわらず、日本原燃は、3日後の12日になるまで、液位の低下に気づきませんでした。1月15日から各種警報が何度も鳴り始め、漏えい液の流れ込む受皿の液位と温度が上昇し、液位上昇の注意報・警報が繰り返し鳴っても、受皿内の廃液の調査をしませんでした。漏えいが分かったのは12日も後でした。その後も、重要度の低い「事象」として扱い、翌日朝になるまで公表しませんでした。あまりにもずさん極まりない高レベル放射性廃液管理の実態が明らかになりました。

1・30原燃報告書――原因究明もせずガラス溶融炉の加熱再開を目論む 
 日本原燃は、1月30日に事故報告書を出しましたが、その内容は、行方不明の廃液の所在も事故の原因も全く明らかになっていないのに、形だけの再発防止対策を作文し、構造変更が必要な対策は実施せずに、ガラス溶融炉の加熱を再開しようと目論むものでした。報告書は、これまで高レベル放射性廃液、プルトニウム濃縮液などの超危険な貯槽でさえ、常時監視を行っていなかったこと、漏えい液受皿の液位が上昇した時の対処の手順も決めていなかったことなど、全くいい加減な管理の実態を明らかにしています。

同じ事故を繰り返す日本原燃の絶望的な体質
 日本原燃は、2月10日に2回目の漏えい事故に対する報告書を出しました。2回目の事故は、配管に高レベル廃液が再び流れてくることはないだろうと決めつけて、配管内部に残留している高レベル放射性廃液を確認することもなく、前回漏えいを起こした配管のフタを再びいい加減に取り付けていたことから起こったとされています。

国は原燃への事業指定を取り消せ!
 高レベル廃液漏えい事故に対しては、新聞報道では、国もさすがに、日本原燃の高レベル廃液の漏えいへの認識の甘さを指摘し、未回収廃液の行方について具体的に言及するようにと追加報告を求めています。日本原燃は今後、2回の事故両方への追加報告を出すことになります。保安院は、2月2日付文書では、1・30原燃報告書に不足があると認めています。しかし、どの点に不足があるのか全く言及していません。国は、今回の事故の重大性を深刻に受け止め、高レベル放射性廃液の管理能力皆無の原燃への六ヶ所再処理事業に対する事業指定を直ちに取り消すべきです。(2009年2月12日)

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2009年2月 6日 (金)

12、13日再処理&プルサーマル反対行動(2月9日更新)

 ご承知のように六ヶ所再処理工場のガラス固化試験はトラブルが相次ぐ中で廃液漏れが立て続けに起き、末期症状を呈しています。
 一方で、再処理でとりだしたプルトニウムを通常の原発で使うプルサーマルについては、動きが活発化しており、玄海・伊方・浜岡原発のプルサーマル用MOX燃料のフランスからの輸送が問題になっています。この輸送を止めるべく、南米や南太平洋など通過諸国大使館へのはたらきかけが始まっています。またMOX燃料の輸送容器の安全性に問題ありとして、許可しないよう求める要望書について、全国の賛同を得て13日に予定されている議員会館での国交省との交渉(ヒアリング)の場で提出することになっています。
 そこで12日の夜に討論集会を行い、その日の午後に予定されている六ヶ所再処理のガラス固化について交渉を経ての報告を受け、さらに翌日の国交省交渉に向けて、MOX燃料輸送容器の安全性問題や海外の動きなどについて報告を受け討論する場を設けたいと思います。12日の交渉前には経産省別館前でアピール行動も行います。ぜひ各地からお集まりください。

■再処理とめよう経済産業省別館前アピール行動

日 時 2月12日(木)13:00~13:50
場 所 経済産業省別館前(東京メトロ霞ヶ関駅C2出口直ぐ)
主 催 六ヶ所再処理工場のアクティブ試験を憂慮する全国の市民
問合せ 03-5225-7213 AIRまで
横断幕・プラカード等持参歓迎。手ぶらでももちろんOKです

■保安院ヒアリング-六ヶ所再処理ガラス固化について
日 時 2月12日(木)14:15集合14:30~16:30
場 所 衆議院第一議員会館第三会議室
集 合 衆議院議員会館のロビーに14:15集合
出 席 近藤正道議員ほか
問合せ 原子力資料情報室まで

■六ヶ所再処理は末期症状・危険で不要なプルサーマル燃料輸送をやめさせよう討論集会

日 時 2月12日(木)18:30~21:00
場 所 総評会館402会議室 地下鉄新御茶ノ水駅すぐ
お 話(仮:変更あり)
・澤井 正子さん(原子力資料情報室)ガラス固化は末期症状-交渉を受けて
・小山 英之さん(美浜の会)MOX燃料輸送容器の危険性
・アイリーン・スミスさん(グリーン・アクション)
      MOX燃料輸送をめぐる諸外国の動き、大使館をまわって…など
・久保木 契(福島老朽原発を考える会)ほか
参加費 800円
主 催 福島老朽原発を考える会/ストップ・ザ・もんじゅ東京/原子力資料情報室
問合せ 03-5225-7213 AIRまで

■国交省ヒアリング・要望書提出-MOX燃料輸送容器の安全性について-

日 時 2月13日(金)12:00集合13:00開始
場 所 参議院議員会館第三会議室
集 合 参議院議員会館のロビーに12:00集合
設 定 近藤正道議員事務所にご尽力いただきました。
問合せ 原子力資料情報室

■STOP再処理 LOVE六ヶ所2・22 渋谷 デモ

日 時 2月22日(日)13:30集合14:00出発
集 合 渋谷・宮下公園(渋谷駅下車徒歩5分)
横断幕・プラカード等をご持参ください。手ぶらでももちろん大歓迎!

主 催 再処理とめたい!首都圏市民のつどい
呼びかけ団体 : 原水禁国民会議(03-5289-8224)/ストップ・ザ・もんじゅ東京(03-5225-7213AIR内)/大地を守る会/福島老朽原発を考える会/たんぽぽ舎/日本山妙法寺/日本消費者連盟/ふぇみん婦人民主クラブ/グリーンピース・ジャパン/原子力資料情報室

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2009年1月22日 (木)

再処理をやめなさい!経済産業省別館前行動

2009年1月28日(水)18:30~19:00

営団地下鉄霞ヶ関駅(C2出口まっすぐ)

拡声器でのアピール、再処理とめたい!チラシ(首都圏市民のつどい作成)まき、歌、申し入れ書・抗議文などを読み上げて渡す、などの行動です。

申入書や横断幕、プラカードなどをご持参ください。

もちろん手ぶらでも可。

仕事帰りにでもお気軽にどうぞ来てください。

主催 再処理とめたい!首都圏市民のつどい

呼びかけ団体 : 原水禁国民会議(03-5289-8224)/ストップ・ザ・もんじゅ東京(03-5225-7213AIR内)/大地を守る会/福島老朽原発を考える会/たんぽぽ舎/日本山妙法寺/日本消費者連盟/ふぇみん婦人民主クラブ/グリーンピース・ジャパン/原子力資料情報室

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