メールニュース:1億ベクレル放出しても放射能は「検出限界以下」-原燃の4月定期報告書
美浜の会メール・ニュース06-19より
共謀罪法案はなんとか今国会では継続審議となりそうです。民主党案丸呑みで採決し、次の国会で修正等と自民党の姑息さには本当に腹が立ちます。私たちも午前中に法務委員にFAXを送りました。今後も継続して監視し、反対の声を発していきましょう。
本題に入りますが、5月30日に原燃は、アクティブ試験の4月の報告書を出しました。
海洋への放射能放出などについて、「各月毎に報告するため、個々には公表しない」と繰り返していた、その「各月毎の報告」です。
○原燃の4月報告書
http://www.jnfl.co.jp/daily-stat/common/0604recycle-safety.pdf
今回のメールで紹介する、原燃の4月報告書の内容批判等については、当会のHPに詳しい記事を出しています。表などもつけていますので、是非、御一読ください。
★1億ベクレル放出しても放射能は「検出限界以下」(ND)
http://www.jca.apc.org/mihama/reprocess/accidents060601.htm
■1億ベクレルの放射能を放出しても「検出限界以下」(ND)!
原燃の4月報告書では、使用済み核燃料8体(約4トン)を処理したと書かれています。その4トンの処理に伴い、4月中に海洋と大気へ放出した放射能量が表になっています(原燃4月報告書6頁)。表では、NDのオンパレードです。NDとは、検出限界以下のことで、ほとんど存在しなかったというような意味です。
海洋放出については、トリチウム以外は全てND! 大気への放出についても、炭素14(C-14)は全量放出することになっていたのにND! これを見ると、ほとんど放出されなかったと思ってしまいます。そこで、原燃に電話で確認して、以下のことが明らかになりました。
検出限界値(測定下限濃度)とは、国のいわゆる「測定指針」で、決められた濃度です。測定器の性能に左右され、ある濃度以下は測定できないため、検出限界以下とすることになっています。「測定指針」で放射能の核種によってその濃度が定められています。
4月は600立方メートルの廃液を1度だけ放出したことが分かっています(4月28日放出)。そのため、トリチウムの測定下限濃度(0.28ベクレル/立方センチメートル)に600立方メートルをかけると1億2千万ベクレルの放射能となります。
原燃報告書ではトリチウムの放出(海洋への)は、1億7千万ベクレルのため検出限界を超えて放出したことになり、数値が書かれているのです。しかし、これが仮に1億ベクレルだったとすると、検出限界以下となり、NDとなってしまうのです。毎秒1億個の放射線を出しても、検出限界以下というわけです。表でNDとなっているものは、「出なかった」のではなく、限度以下だったというだけです。
国の「測定指針」で決められている「測定下限濃度」は、1978年に定められたものです。28年たった現在では測定器の性能も上がっているはずなのに、「測定下限濃度」はそのままです。事実、東電などの資料では、「測定下限濃度以下」の数値も出ています。原燃にしても、「ND」としながらも測定値はもっているはずです。その測定結果を公表すべきです。
■ND+ND=ND
1億ベクレルでもNDという話をしましたが、これでいくと5月分が公表された時はどうなるでしょうか。仮に5月のトリチウムの放出量が1回放出で1億ベクレルだったとします。5月分の放出量はNDです。では、4月と5月分の累積はどうなるかというと、1.8億+1億=2.8億ベクレルとなるでしょうか。違います。原燃のやり方では、1.8億+ND=1.8億となるのです。
4月も5月もNDの核種はND+ND=NDとなります。これはウラン試験の報告書でもそうなっています。
こんな「情報公開」があるでしょうか!
■海への放出-放出した廃液量も放出月日も書いていない
-1バッチ毎の放射能量は測定しているが公表していない
原燃の4月報告書では、海洋放出について、放出した月日と廃液の量について記載がありません。4月は「初めての放出だったので」マスコミ等に発表して、28日に1回のみで、600立方メートルを放出したということが分かっていました。そのため、上記のような計算もできます。
しかし、今後、1ヶ月に複数回の放出をした場合を考えてみてください。「各月毎に報告する」といいながら、何日と何日に放出したかも分からず、放出した廃液量のトータルも分からず、NDということになってしまうのです。
原燃が1バッチ(600立方メートル)毎に放射能量を測定していることは電話で確認しました。その数値を公表すべきです。
■2ミリシーベルト以下の被ばくは公表しない
海洋放出について、4月28日の第一回の放出を明らかにしたとき、「初めてのことなので社会的関心があるから」発表したと原燃は言っていました。
これと同じことを労働者被ばくの問題でも言っています。5月25日に明らかになったプルトニウム被ばくの問題で、原燃社長は記者会見(5月30日)で、「初めての体内被ばくだったので公表したが、今後は安全協定に即して2ミリシーベルトより少ない被ばくは基本的に公表しない」と述べています。労働者被ばくはますます闇に葬られていくことになります。
○原燃の兒島伊佐美社長が作業員の体内被ばくで陳謝[デーリー東北5月31日付]
http://www.daily-tohoku.co.jp/kakunen/news2006/kn060531a.htm
■漏れてから交換すればいい-「事後保全」
配管のT字継ぎ手からの漏えい事故について電話をすると、原燃は「事後保全」という言葉を繰り返します。密閉されたセル(小部屋)以外の配管などで漏えいがあっても、セル外なので人が立ち入ることができ、部品の交換ができる。漏えいがあってから交換すればいいという「事後保全」です。今回はさすがに批判の声があがり、他のT字継ぎ手も最小限度の範囲で点検しましたが、基本的に、そのようなことは必要なしというのが原燃の姿勢です。
原発の2次系配管でも「事後保全」は適用していません。そうなれば、美浜3号機事故のような死傷事故が頻繁に起きることになります。もちろん、原発でもこの「事後保全」の思想を適用して、定期検査の簡略化を図ろうとしています。
今回漏えいした7リットルのウラン入りの放射性溶液は、下請け労働者がふき取ったのでしょう。この事後保全の思想でいけば、漏えいを容認するわけですから、被ばく労働は増え続けます。それも、プルトニウム等による危険な内部被ばくが伴います。建設工事が終了して、地元の作業員が被ばく労働にかり出されるというわけです。そして、2ミリシーベルト以上は公表しないと。
■アクティブ試験から2ヶ月が経ちますが、事故が頻発しています。原燃社長自らが認めています。そして、「再発防止策」として、「安全大集会」を開いて「災ゼロ、災ゼロ」と唱和しています。これが「再発防止策」でしょうか。
原燃がNDと言おうが、放射能は放出されています。まずは、その事実を公表させていきましょう。Rokkashoの歌詞にあるように「要注意のデータを、表に出そう」です。
今回紹介した事実を多くの人に広めてください。青森県や岩手県などの地元の議員や国会議員などにも知らせてください。
http://stop-rokkasho.org/
歌詞の対訳はこちら
http://www.kuwaharamoichi.com/D2/archives/2006/05/rokkasho_1.html
○体内被ばくで原燃が臨時全社集会[東奥日報5月31日付]
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2006/0531/nto0531_10.asp
○作業員被ばくで原燃が全社集会/安全確保誓う[デーリー東北6月1日付]
http://www.daily-tohoku.co.jp/kakunen/news2006/kn060601a.htm
■カンパありがとうございました。
以前メール・ニュースで「美浜の会ニュース」の定期購読とカンパのお願いをしました。ネット上のことなので恐縮だとは思っていましたが、購読料やカンパが届いています。本当にありがとうございます。激励の文書にも励まされています。皆さまからのカンパは、高くつく原燃への電話代や青森行きの交通費に充てさせていただきました。
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