ガラス固化工程のトラブルによるアクティブ試験の遅延が確定的に-全国140団体から保安院へ要望書提出と交渉-
ガラス固化工程のトラブルによるアクティブ試験の遅延が確定的に
全国140団体から保安院へ要望書提出と交渉 六ヶ所再処理工場でのアクティブ試験におけるガラス固化工程のトラブルについて、情報公開と再処理作業の中止を求める原子力安全・保安院院長あて要望書の提出と交渉が1月15日11時から12時にかけて参議院議員会館にて行われました。
要望書には短期間に全国から多くの賛同が寄せられ、140団体での提出となりました。交渉には、大阪、岩手、宮城、首都圏各地から、消費者、宗教者、サーファーのみなさんを含め多彩な顔ぶれが揃い、会場は30名を超える市民で溢れました。
海の放射能汚染に反対する署名の追加提出も同時に行われ、三陸の海を放射能から守る岩手の会から手渡されました。署名は追加提出により10万筆を突破しています。
青森でも交渉に合わせて要望書提出の記者会見が開かれました。交渉には川田龍平議員、金田誠一議員、近藤正道議員も出席され、積極的に質問、主張していただきました。
相手は核燃料サイクル規制課の金城慎司課長補佐、企画調整課の中野真吾総括係長、放射性廃棄物規制課の浦野宗一統括安全審査官、資源エネ庁の原子力立地・核燃料サイクル産業課の田岡卓晃課長補佐の4名で、ほとんど金城氏が対応していました。
要望書はあらかじめ渡してあったので、最初に金城氏がひととおり回答を説明し、「広い分野の情報が網羅されよくできた要望書だ、事実関係については争うことは特にない」などと、ほめ殺しかと思うような発言をくり返しました。
交渉の最大の成果は、アクティブ試験の第4ステップと第5ステップのそれぞれでA・B両系統について行う予定にしていたガラス固化性能試験について、日本原燃が、第4ステップはA系統だけにして終らしてしまおうと動く中で、保安院が第4ステップでもA・B両系統で試験をやらせるつもりでいることが確認できたことです。アクティブ試験の今後については、第4ステップのガラス固化工程について日本原燃が性能確認結果を保安院に報告する。保安院はそれを核燃料サイクル小委員会再処理ワーキンググループにかけ、親の小委員会にもかけると明言しました。その後、第5ステップに入り、そこで保安院は現場に行って使用前検査を行い、規定どおりの速度(70リットル/h)でガラス固化ができるかどうかを、A,B両系統について行うと述べたのです。日本原燃の思惑が外れ、試験工程の進行が大幅に遅れる可能性が高くなりました。
交渉では12月の工程変更で、第5ステップで行われる予定だったせん断を、ガラス固化試験用の廃液が足りないという理由で、一部第4ステップで行うとした点についても議論になりました。なぜ廃液が足りないのか。保安院は、試験の項目を増やしたようだと回答しました。しかし廃液が足りなくなるほどガラス固化が進んでいるのかというとそうではなく、逆にガラス固化はトラブルを抱えて進んでいません。この矛盾について再度聞きました。第5ステップ用の廃液も確保するようなこともちらっと言っていましたが、結局合理的な説明はありませんでした。
ガラスと廃液を混ぜた液の粘性が高くなり、抜き出さなければならないトラブルについては、詳しいことは報告待ちだとしながらも、東海村の試験炉で明らかになった構造的欠陥が克服できずにまた露呈したのではないかとの指摘を否定することはできませんでした。
欠陥ガラス固化体の扱いについても議論になりました。抜き出した液はどう処理するのか、欠陥ガラス固化体ができた場合の扱いはどうなっているのか、これについて保安院は回答の用意がなく、宿題となりました。
最後に問題になったのが、情報非公開の姿勢です。核燃料サイクル小委員会は、再処理ワーキンググループの議論が非公開になっている点、それだけでなく、12月7日に行われたワーキンググループの会合の議事要旨がいまだに出ていない点などが問題となりました。保安院はフランスとの二国間の取り決めを理由に挙げていましたが、あまりにもひどすぎるとして議員からも抗議の声があがりました。
要望書では、要望書を核燃料サイクル小委員会の委員に配布することも求めています。保安院は当初、そのつもりはないと回答しましたが、あらためて要求し、検討事項となりました。その他、ガラス固化の粘性問題の実態・廃液が追加で必要となった理由、廃液の量とガラス固化体の本数、欠陥ガラス固化体の扱いといった検討事項、宿題については、川田龍平事務所に改めて説明に来るという約束をとりつけて終了しました。
要望書(PDF)をダウンロード (後に「A SEED JAPAN」さんからも賛同をいただきました。)
交渉の動画はこちら(Kayph Movie)
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