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2008年2月 7日 (木)

日本原燃の第4ステップ終了宣言を認めるな-再処理ガラス固化問題で保安院へ緊急要請行動

080207_11470003  日本原燃は2月4日,「再処理施設アクティブ試験第4ステップにおける高レベル廃液ガラス固化設備の試験状況報告」を公表しました。報告の中で日本原燃は,「第4ステップの試験項目については全て終了」したとしています。しかしその内実は,A・Bの2系統あるうちのA系統の性能確認しか行っておらず,しかも,A系統にしても,白金族元素問題というガラス固化における根本的な欠陥が未解決であることの確認ができただけです。

計画では,第4ステップにおいて,A・B両系統において性能確認をすることになっていました。これを日本原燃は計画変更の手続きもなしに,勝手にA系統だけにしてしまったのです。今年1月15日の保安院と議員・市民との議論の場において,保安院は当初の計画に変更はないと明確に回答しました。この回答に照らしても,日本原燃が「第4ステップは全て終了した」と公言しているのは許しがたいことです。

2月7日に,保安院に対し,日本原燃が第4ステップ終了を公言することを許さず,第5ステップに進むようなことがないよう厳しく指導するよう求める緊急の要請と交渉を衆議院第二議員会館で行われました。保安院は本来,原燃の暴走を食い止める立場にあるはずですが,8日に再処理WG、14日に核燃料サイクル小委員会を入れて追認する構えを見せています。

要請行動には急遽の開催にもかかわらず30人を超える人が集まりました。保安院側は金城氏一人でした。原燃から計画変更の申請はなく,その意味では,第4ステップでA・B両系統で性能確認を行うとの7月の計画は生きており,1月15日の交渉時点と同じだと言う一方で,2月4日の原燃報告が出て状況は変化したとも述べ,保安院としては,第4ステップで使用前検査が受けられる状況にあることの確認を求めているだけだと何度も述べました。1月15日の説明から明らかに後退しています。

当初の計画と前提が違うものが出てきたのだから突き返せと言うと,外形上は要求を満たしているので受理した,あとは今精査中であり中身は何も言えないの一点張りでした。14日の核燃料サイクル小委員会についても原燃報告が議論の対象になると述べるだけで,それ以上は何も言えないと。ここで第4ステップ終了を認める可能性が十分にあります。

交渉には,川田議員,近藤議員,金田議員も出席され,試験の中身も問題だが手続き上も問題がある。A・B両方でやることになっているのだから,できそこないの報告を受理して委員会を開くのはおかしいと厳しく詰め寄っていました。

明日8日には再処理WGが非公開でもたれます。ここでの議事と資料をすぐに議員に渡すことと14日前に説明の場を設けることを要求して終わりました。

緊急要望書(六ヶ所再処理工場のアクティブ試験を憂慮する全国の市民より提出)は以下のとおりです。

「kinkyuyobosyo-080207.pdf」をダウンロード

六ヶ所再処理工場アクティブ試験ガラス固化試験に関する
原子力安全・保安院への緊急要望書

-ガラス固化試験は根本的な欠陥が未解決なことを確認しただけ
-A・B両系統での性能確認の実施なしに日本原燃の第4ステップ終了宣言を認めるな

原子力安全・保安院長 薦田 康久 様

2008年2月7日
六ヶ所再処理工場のアクティブ試験を憂慮する全国の市民

 日本原燃は2月4日,「再処理施設アクティブ試験第4ステップにおける高レベル廃液ガラス固化設備の試験状況報告」を公表しました。報告の中で日本原燃は,「アクティブ試験計画書で計画した第4ステップの試験項目については全て終了」したとしています。

 しかしその内実は,A・Bの2系統あるうちのA系統の性能確認しか行っておらず,しかもそのA系統にしても,予定の18バッチを処理したが,「期待していた『安定した運転状態を定常的に形成する』ことが難しく」,追加データ取得のために行った運転でも安定した運転状態には至らず,41バッチで「炉底部に白金族元素が堆積していることが推定」される状況から,「溶融ガラス抜き出し操作」を行わざるを得なくなり,試験はここで止まったままです。結局のところ,日本原燃が「『白金族元素の影響を考慮し,管理された運転状態で維持されること』の状態を確認するまでには至らなかった」と認めるように,白金族元素問題というガラス固化における根本的な欠陥が未解決であることの確認ができただけです。

 計画では,第4ステップにおいて,A・B両系統において性能確認をすることになっていました。これを日本原燃は計画変更の手続きもなしに,勝手にA系統だけにしてしまったのです。今年1月15日に参議院議員会館で行われた貴院と議員・市民との議論の場において,私たちが,昨年7月17日の第13回核燃料サイクル安全小委員会に日本原燃が提出した参考資料4に,第4ステップでA,B両系統の性能確認を行うと書かれていることから,第4ステップでの性能確認はA,B両系統とも行うのは当然であり,貴院も当然そのように指導すべきではないかと問うと,核燃料サイクル規制課の金城慎司課長補佐は,これに同意され,当初の計画に変更はないと明確に回答されました。この回答に照らしても,日本原燃が「第4ステップは全て終了した」と公言しているのは許しがたいことです。

 貴院におかれましては,ガラス固化設備のB系統の性能確認がなく,A系統の性能確認すら全く不十分な状況で,日本原燃が第4ステップ終了を公言することを許さず,第5ステップに進むようなことがないよう厳しく指導されるよう緊急に要請いたします。

 また,日本原燃の報告では,肝心の温度データなどがマスキングされています。これがなぜ非公開なのか理解に苦しみます。貴院が事務方を務める核燃料サイクル安全小委員会再処理WGについても,「再処理事業者の事業運営に直接関係する情報を取り扱うこと及び委員各位による率直かつ自由な意見交換を確保する必要がある」というこれまた理解しがたい理由で傍聴が許されず,資料も公開されていません。こうした情報は,国民の安全に関わる重要なものです。日本原燃へ情報を開示するよう促してください。貴院がかかわる審議の一切を公開してください。

 なお、この緊急要望書は,核燃料サイクル安全小委員会および同再処理WGの委員の方々全員に配布してくださるよう,よろしくお願いします。

要 望 事 項

1.六ヶ所再処理工場アクティブ試験ガラス固化の性能確認について,A・B両系統での性能確認が実施されない状況で,日本原燃が,第4ステップは終了としていることを認めないこと。第5ステップに進むことを許さないこと。

2.日本原燃に情報開示を促すこと。核燃料サイクル安全小委員会再処理WGの審議,資料を公開とすること。

六ヶ所再処理工場のアクティブ試験を憂慮する全国の市民

■呼びかけ団体
核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団/再処理工場について勉強する農業者の会/花とハーブの里/PEACE LAND/三陸の海を放射能から守る岩手の会/グリーンピース・ジャパン/原子力資料情報室/原水爆禁止日本国民会議/ストップ・ザ・もんじゅ東京/日本消費者連盟/ふぇみん婦人民主クラブ/福島老朽原発を考える会/グリーン・アクション/美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会

◆連絡団体
グリーン・アクション
 〒606-8203 京都市左京区田中関田町22-75-103
 TEL:075-701-7223; FAX:075-702-1952
グリーンピース・ジャパン
 〒163-0802 東京都新宿区西新宿8-13-11 NFビル2階
 TEL:03-5339-9800; FAX:03-5339-9817
原子力資料情報室
 〒162-0065 東京都新宿区住吉町8-5曙橋コーポ2階B
 TEL:03-3357-3800; FAX:03-3357-3801
福島老朽原発を考える会/ストップ・ザ・もんじゅ東京
 〒162-0825 東京都新宿区神楽坂2-19銀鈴会館405号AIR気付
 TEL:03-5225-7213; FAX:03-5225-7214
花とハーブの里
 〒039-3215 青森県上北郡六ヶ所村倉内笹崎1521 菊川方
 TEL:0175-74-2522; FAX:0175-74-2522 
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
 〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満4-3-3星光ビル3F
 TEL:06-6367-6580; FAX:06-6367-6581

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