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2008年3月31日 (月)

ガラス固化で行き詰まる六ヶ所再処理工場

0331001 六ヶ所再処理工場で事業者の日本原燃が今困り果てているのがガラス固化の問題です。アクティブ試験の第4ステップにおいて,重大な欠陥が露呈し中断に追い込まれたのは昨年末でした。その後1月から2月にかけて,私たちは国会議員と緊密に連携し,原子力安全・保安院に対して要望書提出と交渉,抗議行動等を矢継ぎ早に行いました。2月14日,核燃料サイクル安全小委員会が開催され,第5ステップ入りは強行されましたが,ガラス固化体の製造は,ガラス溶融炉の内部の点検結果と再発防止策の妥当性を小委員会が再チェックするまで開始できないという、予定外のハードルが課されました。原燃は,点検結果を3月末にも出すとしています。以下,第4ステップで明らかになったガラス固化の困難について解説します。図はいずれも日本原燃が核燃料サイクル安全小委員会に提出した資料にあるものです。(図をクリックすると大きくなります)

職人技が必要な炉の運転

0331002_2  ガラス固化は,ガラス溶融炉に高レベル放射性廃液(廃液)とガラス材を投入したところに電流を流し,1100~1200度にして溶かしたものを容器に流して固めるという作業ですが,ただ熱すればよいというものではありません。液面上にわざと溶けていない部分を蓋のように残しておかなければなりません。これを仮焼層(かしょうそう)と称しています。これが落とし蓋の役割を果たします。これがないと,熱が上部の気体部分に逃げてしまい,廃液の温度は上がらなくなってしまいます。

 第4ステップの最初の1~5バッチではまさにその現象が起きていました。はじめに炉内の主電極に電流を流すとともに,炉の上部から加熱する間接加熱装置を使って加熱しました。しかし加熱しすぎて仮焼層が溶けてしまい,熱が気体部分に逃げ,温度上昇が1100度あたりで止まってしまいました。1100度を超えた状態を維持しないと,ガラス材と廃液が十分に混ざらず,不良品ができてしまいます。そこで6バッチに間接加熱を下げて仮焼層の成長を促しました。7~8バッチでようやく温度が規定の値まで上昇します。ところが今度は仮焼層が成長しすぎてしまいました。仮焼層が大きくなりすぎて液面を覆ってしまうと,液面からの水分の蒸発がなくなり,ガラス材と廃液の供給を止めざるを得なくなります。8バッチで一旦供給を止めて仮焼層を溶かし,供給を再開した後は,間接加熱を上げ下げして,仮焼層の大きさを調整していきます。ガラス固化という料理の火加減は難しく職人技が必要なのです。

白金族元素の堆積によるガラスの偏流

0331003  9~10バッチで仮焼層が形成され,15バッチまでは安定した運転が実現しました。ことです。ところが16バッチで流下ガラスの偏流が起きてしまいます。白金族元素の堆積の影響です。廃液中でどうしても溶けない白金族元素が下部に堆積すると,電流がショートしてしまい,下部の温度が十分に上がりません。するとガラスの粘性が大きくなってしまい,下から出すときにどろどろのまま出てきてしまいます。ガラス固化容器に向かって真っ直ぐに流下せずに,ぐにゃりと曲がってしまったのが偏流です。

0331004_2  原燃は,このようなことが起こらないようにするための運転方法を次のように説明しています。まず,ガラス材と廃液を混ぜる間は,上部を高温にする一方で下部は逆に冷却し,わざとガラスを固めて白金族元素が下部に堆積しないようにする,ガラス材と廃液をガラス固化体容器に流下させる際には,下部の温度を一気に上げて溶かし,白金族元素が堆積する間を与えずに一気にガラス固化体容器に流し入れる…,これまた職人技で対処するというのです。

 しかし,第4ステップでは,仮焼層の形成に必死になっている間に,白金族元素が堆積してしまいました。しかもこのときには,偏流を起こすような粘性の高いガラス廃液がどろどろのガラス固化体容器の中で積み上がって固まったために,規定量以下しか入れていないのに蓋の上にはみ出てしまい蓋が閉まらなくなるという事態も発生しています。蓋ができない固化体は未だに対処ができずに,その場に置かれたままです。

炉底をかき混ぜてもダメだった

 16バッチで偏流を確認した原燃は,18バッチで,棒を入れて炉底をかき混ぜることを決めます。19バッチでは「直棒」,20バッチでは「曲がり棒」を使ってかき混ぜ,堆積物の影響を取り除くことを試みました。第4ステップ全体をみると,原燃は,運転方法としては,白金族元素の管理よりも仮焼層の管理を優先していたようにみえます。白金族元素については,堆積させないというより,堆積してもかき混ぜて除けばよしとしていたのではないでしょうか。ところが実際には,かき混ぜてもダメだったのです。

0331005_2  原燃はかき混ぜた後,下部でも電流が流れることを確認して21バッチから廃液の供給を再開しましたが,溶接機の故障により炉を止めることなり,25バッチで試験は一旦終わります。このまま終わってはまずいと判断した原燃は追加の試験を実施します。白金族元素を減らすためのガラスの抜き出しや,炉内をまたかき混ぜる操作を行った後,35バッチから始めました。はじめは順調でした。間接加熱をあまり使わないようにし,仮焼層を成長させて運転を続けました。ところが,39~40バッチと40~41バッチで2度にわたる偏流が発生しました。ガラスの粘性が高く,流下速度が上昇しないことが確認され,41バッチで運転を止めざるを得なくなりました。これで終わってもまずいはずなのですが,原燃はこれで第4ステップを強引に終わらせてしまいました。

0331006_2  その後原燃は,炉内を点検し,溶融ガラスの抜き出しが良好に行われたことを確認したとしています。しかし炉底には残留物がこびりついていました。この残留物について,分析を行うとともに,針のような工具がついたロボットアームを使ってこれを取り除く作業を行うとしています。

第4ステップはガラス溶融炉が欠陥品であることを明らかにしただけ

 原燃は2つの問題について,どのように対処するつもりなのでしょうか。まず,仮焼燃層を安定させる運転技術については,実験炉で職人技を鍛えることとしています。しかし,実験炉でうまくいっていたことが実用炉には通用しないというのがこれまでの経験です。もう一つの白金族元素堆積の管理についてはどうでしょうか。第4ステップの経緯から明らかになったのは,堆積が防ぎきれないということ,一度堆積してしまうとかき混ぜてもだめだということです。これを解決する見通しは,これまでの経験からは何も出てきません。原燃は2月報告で,「炉底部の低温管理」と「炉内状況が悪化する前に炉底撹拌」を行うとしていますが,これは,堆積しないようにがんばります,堆積する前にかき混ぜます,と根拠のない決意表明をしているだけです。
 また,原燃は,第4ステップで堆積が起きた時期について,仮焼層の形成に手間取っている間や,かき混ぜる操作で手間取っている間といったものを挙げていますが,推測の域を出ません。特に16バッチの偏流は,かき混ぜる前に発生していますから,仮焼層の形成に手間取っている間しかないのですが,この間は炉の下部は低温に保たれていました。それでも堆積が起きたということは,「炉底部の低温管理」では全く対策にならないということを意味します。第4ステップは,六ヶ所再処理工場のガラス溶融炉が運転技術云々ではどうにもならない欠陥品であることを明らかにしただけです。

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