ガラス固化問題、再処理とめたい!首都圏市民のつどいからの国の委員宛申入書
再処理とめたい!首都圏市民のつどいは、核燃料サイクル安全小委員会、同再処理WGの全委員に、ガラス固化試験に関する申入書を出しました。
核燃料サイクル安全小委員会、同再処理WGの委員のみなさまへ
六ヶ所再処理工場・ガラス固化試験に関する申入書
核燃料サイクル安全小委員会
委員長 松本 史朗 様
2008年12月2日
再処理とめたい!首都圏市民のつどい
六ヶ所再処理工場のガラス固化試験は、不溶解残渣を含む廃液の供給開始直後から白金族堆積指標と流下速度が急激に悪化し、わずか5バッチで回復運転への移行レベルを突破しました。10月27日より回復運転に入りましたが、現在も炉内状況は一向に改善されていません。
改善の見通しが立たないため、日本原燃は、11月25日、今年11月としていた竣工を3か月延期し来年2月にする工事計画変更の届出を余儀なくされました。
私達は、以下の通り、日本原燃および原子力安全・保安院による試験の進め方に強い疑問をもち、現在の行き詰まっている事態を直視することから率直な結論を導くべきだと考えます。委員のみなさまには、私達の意見を受け止め、是非とも今後の提言や審議などの際に反映していただくよう要望いたします。
1.10月27日付原燃報告書の目的と性格について、6月30日のサイクル小委の決定に照らして正確に点検して下さい。
ご覧になっていない委員の方もいらっしゃるかと存じますが、原燃は、10月27日に、10月10日からの試験についての報告書を出しました。これは、「結果報告」という名称になっており、6月30日のサイクル小委で出された課題に対して妥当な結果が得られたと結論付けており、最終報告としての位置付けをもって提出されています。しかし、その内容は、不溶解残渣供給後の酷い結果を棚に上げて、不溶解残渣供給前の試験結果のみをもって対策は妥当であるとする異常なものです。しかし、保安院は、6月30日のサイクル小委で「技術的見地から十分な確認が得られた段階で、その結果について事業者より報告を受ける」と決定していたにもかかわらず、この異常な報告書を、突き返すことも、訂正を求めることもせず、そのまま受け取りました。保安院が一部報道で不十分だというコメントを流したためか、原燃は、10月31日の社長定例会見で「一つのまとめ。経過報告だった」と言い換えを余儀なくされ、11月4日の再処理WGでは、今回の報告書は経過報告であり、これとは別に最終報告を行う予定であると説明しました。しかし、11月11日の青森県原子力施設環境放射線等監視評価会議監視委員会に原燃が出した報告では、10月27日付報告書が経過報告であるとは一言も書かれておらず、不溶解残渣供給後のデータまで含めて、6月30日のサイクル小委で承認された内容に基づいて評価した結果報告として提出したものだと述べています。保安院が、異常な報告書をそのまま受け取ったことが、原燃がこのような振る舞いを行うという客観的効果をもたらしたのです。
私達は、委員のみなさまに、10月27日付報告書の目的と性格について、6月30日のサイクル小委の決定に照らして正確に点検していただくことを求めます。そして、原燃に対して、この報告書が6月30日の決定の要件を全く満たしていないのに最終報告であるかのように振る舞っていることを問題にすること、要件を提示した当事者である保安院に対しては、報告書を受け取ったことの責任について問い質していただくことを求めます。
2-1.不溶解残渣を含まない廃液での試験は、事業指定申請書に照らして無意味であるとの判断を求めます。
事業指定申請書には、ガラス固化は不溶解残渣廃液を含む高レベル廃液を対象として行うものであると書かれています。原燃も11月4日付文書でこれを認めており、保安院も11月14日のヒアリングで認めています。
事業指定申請書第4.2-2表によると、使用済み燃料中のルテニウム/ロジウムの移行率は、溶解液に75%、不溶解残渣廃液に50%、ハル・エンドピースに5%となっています。使用済燃料中のルテニウム/ロジウムのうち平均で約4割、最大で約5割が不溶解残渣に移行することになります。清澄の工程を行えば、相当量の不溶解残渣が常に排出されるということであり、上記白金族の移行率を考慮すれば、不溶解残渣の有無は、試験結果に非常に大きな違いをもたらすことが分かります。
事業指定申請書に従って試験を行うのであれば、当然、申請通りの廃液を供給して試験を行うべきです。白金族対策は東海再処理の時点から最大の問題であったのに、アクティブ試験で原燃はその肝心の白金族を恐れ避けて試験をしてきたのです。そのようなやり方に意味がないことは、今回の不溶解残渣を入れた結果が如実に示しています。
6月30日のサイクル小委では、廃液にわざわざ調整液を添加することが了承されました。それだけガラス固化の対象となる廃液を問題にするのであれば、その前に当然、不溶解残渣供給の有無が検討されるべきでした。少なくとも使用前検査では不溶解残渣を含む廃液で試験を行うのですから、そこで対象となる廃液とかけ離れた廃液で行う試験にどれだけの意味があるのでしょうか。
2-2.原燃・保安院に対して、不溶解残渣を供給してこなかった事実を、委員のみなさまに報告しなかったことを問い質して下さい。
保安院は、第4ステップで不溶解残渣を供給していなかった事実を知りながら、サイクル小委と再処理WGの方々に全く報告していませんでした。このことを私達は、11月14日の保安院ヒアリングで初めて知り、驚愕するとともに、事実を隠していた原燃・保安院に対して憤りを覚えました。委員のみなさまにあっても、これまで再処理工場の安全を守るために真摯に審議されてこられたと思いますが、不溶解残渣を供給していないという、評価する上で極めて重要な事実を知らされてこなかったことは、納得できることではないのではないでしょうか。私達は、委員のみなさまが、原燃・保安院に対して、重大な事実を報告してこなかったことを問題にされ、納得のいく説明、審議のやり直しを求められることを期待します。
2-3.原燃に、不溶解残渣を含むガラス固化対象廃液の時間的蓄積のデータを提出させ、検討して下さい。
原燃は、「残渣を入れたテストは最初から行う予定だった。終盤に始めたのは、ある程度の残渣ができるのを待つ必要があったため」(2008年11月9日東奥日報)と言っていますが、この見解は、相当量の不溶解残渣が常に生成されることと矛盾しています。現在、これまでの試験で使用しなかった不溶解残渣が、高レベル廃液混合槽に送られず、不溶解残渣廃液貯槽等に貯められたままになっているものと思われます。廃液の実態を明らかにするために、不溶解残渣廃液など全てのガラス固化対象廃液の蓄積の時間的経過についてのデータを提出させ、検討して下さい。
3.不溶解残渣供給後の試験結果とその後の経過を詳細に点検して下さい。
これ以上試験を繰り返しても、第4ステップより悪い結果しか出ないと判断し、試験継続の可否を含めて抜本的な検討を行ってください。
10月10日からの試験では、不溶解残渣供給直後から、「回復運転への判断指標」(流下速度50kg/h到達時間、同100kg/h到達時間、主―底間抵抗、白金族堆積指標)の値は全てたちどころに悪化しました。6月30日にサイクル小委で承認された運転方法に基づいて「白金族元素の急激な沈降を抑制」し「安定した運転状態を維持するための対策」が取られながら、わずか5バッチ(残渣供給前から数えても8バッチ)の連続運転で、上記4指標の内3指標もが限界ラインを突破したのです。
第4ステップの試験での教訓は、ひとたび白金族の堆積が進行すると、もはや回復運転では対処できないということでした。そこで、10月からの試験では「白金族元素による影響が顕著になる前に回復運転に移行」する措置が取られました。しかし、不溶解残渣を供給し始めると、回復運転への判断指標を厳しくしたにもかかわらず、そして、わずか5バッチしか連続運転していないにもかかわらず、その後1か月以上回復しないという事態に陥っています。
サイクル小委は、2月14日の審議で、「『白金族の影響を考慮し、管理された運転状態が維持されること』について、『見通し』は得られたとしているものの具体性がなく十分でない」と厳しい判断を下されました。そして、「この『見通し』を着実に実現する必要がある」ことから、試験を「再開するために必要な運転方法」の「具体化が図られたことを」「確認していく」と厳しい対応を取られました。
しかし、今回のトラブルは、6月30日に「具体化が図られた」運転方法では、不溶解残渣を含む廃液の運転には全く耐えられないこと、すなわち再開試験は完全に失敗したことを示しているのではないでしょうか。さらには、運転方法レベルでの見直しだけでは限界があること、ガラス溶融炉の開発の段階からの見直しが避けられないことを示しているのではないでしょうか。
これ以上試験を繰り返しても、第4ステップの時より悪い結果しか出ないことは明らかです。私達は、委員のみなさまに、不溶解残渣供給後の試験結果とその後の経過を詳細に徹底的に点検し、試験継続の可否を含めて抜本的な検討を行っていただくことを求めます。そして、事実に即して率直に判断され、現在のガラス溶融炉には克服不能な原理的欠陥があるとの認識に立って、これ以上無意味な運転は止め、ガラス固化試験を中止するとの結論を出していただくことを切に要望いたします。
<連絡先>
〒162-0825東京都新宿区神楽坂2-19銀鈴会館405号共同事務所AIR気付
TEL 03-5225-7213 FAX 03-5225-7214
福島老朽原発を考える会
核燃料サイクル安全小委員会、同再処理WG委員リスト
2008年9月26日第18回サイクル小委開催時配布名簿 http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g80926a04j.pdf
及び、2008年5月16日第34回再処理WG開催時配布名簿に基づいて作成
再処理WG委員
●松本 史朗
◇再処理WG主査/サイクル小委委員長
〒105-0001港区虎ノ門3丁目17番1号TOKYUREIT虎ノ門ビル
独立行政法人 原子力安全基盤機構 技術顧問
TEL 03-4511-1111(代) FAX 03-4511-1297(広報)
http://www.jnes.go.jp/toiawase/index.html
●新井 充
〒113-0033
文京区本郷7-3-1
国立大学法人 東京大学
環境安全研究センター教授
TEL 03-5841-8659(内 28659) FAX 03-5841-1233(事務室)
m_arai@esc.u-tokyo.ac.jp
●石槫 信人
◇サイクル小委兼務
〒461-8673名古屋市東区大幸南 1-1-20
国立大学法人 名古屋大学 医学部教授
TEL 052-719-1504(庶務) FAX 052-719-1506
ishigure@met.nagoya-u.ac.jp
●榎田 洋一
〒464-8603名古屋市千種区不老町
国立大学法人 名古屋大学 エコトピア科学研究所 教授
TEL 052-789-5262(内5937)FAX 052-789-5265(内5936)
jimu@esi.nagoya-u.ac.jp
●大谷 吉邦
〒319-1194那珂郡東海村村松4-33
独立行政法人 日本原子力研究開発機構
東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所
再処理技術開発センター 環境保全部長
TEL 029-282-1111(代) FAX 029-282-2309
cycle-info@jaea.go.jp
●片倉 純一
〒319-1195那珂郡東海村白方白根2-4
独立行政法人 日本原子力研究開発機構
原子力基礎工学研究部門研究主席核工学・炉工学ユニット
核データ評価研究グループリーダー
TEL 029-282-5480 FAX 029-282-5766
katakura.junichi@jaea.go.jp
●木内 清
〒319-1195那珂郡東海村白方白根2-4
独立行政法人 日本原子力研究開発機構
原子力基礎工学研究部門 嘱託
TEL 029-282-1122 FAX 029-282-6122
nsed-web@jaea.go.jp
●仲野 高志
〒263-8555千葉市稲毛区穴川4-9-1
放射線医学総合研究所 緊急被ばく医療研究センター
主任研究員
TEL 043-206-3026(広報)FAX 043-206-4062(広報)
info@nirs.go.jp
●鈴木 正昭
〒152-8552目黒区大岡山2-12-1 南1号館313号
国立大学法人 東京工業大学大学院 理工学研究科 教授
TEL 03-5734-2112 FAX 03-5734-2112
masaaki@chemeng.titech.ac.jp
●須藤 俊幸
◇サイクル小委兼務
〒319-1194那珂郡東海村村松4-33
独立行政法人 日本原子力研究開発機構
次世代原子力システム研究開発部門次世代再処理システムユニット
工学規模ホット試験施設グループ 技術主幹
TEL 029-282-1111(代)FAX 029-282-2309
cycle-info@jaea.go.jp
●関本 博
◇サイクル小委兼務
〒152-8550目黒区大岡山2-12-1 N1-17関本研究室
国立大学法人 東京工業大学 原子炉工学研究所 教授
TEL 03-5734-3066 FAX 03-5734-2959
hsekimot@nr.titech.ac.jp
●竹下 健二
〒226-8503
横浜市緑区長津田町4259R1-18
国立大学法人 東京工業大学 資源化学研究所 准教授
TEL 045-924-5255 FAX 045-924-5255
takeshit@res.titech.ac.jp
●田中 克己
〒305-8568つくば市梅園1-1-1
独立行政法人 産業技術総合研究所
計算科学研究部門粒子モデリンググループ
主任研究員
TEL 029-861-3170(代)FAX 029-861-3171(代)
http://staff.aist.go.jp/tanaka-katsumi/
●中村 博文
◇サイクル小委兼務
〒319-1194那珂郡東海村村松4-33
独立行政法人 日本原子力研究開発機構 経営企画部 次長
TEL 029-282-1126 FAX 029-282-1517
nakamura.hirofumi@jaea.go.jp
●西村 俊弥
〒305-0047茨城県つくば市千現1-2-1
独立行政法人 物質・材料研究機構
新構造材料センター金相グループ 主幹研究員
TEL 029-859-2165 FAX 029-859-2101
NISHIMURA.Toshiyasu@nims.go.jp
●三澤 毅
〒590-0494大阪府泉南郡熊取町朝代西2丁目
国立大学法人 京都大学原子炉実験所
原子力基礎工学研究部門 准教授
TEL 072-451-2300 FAX 072-451-2600
misa@kuca.rri.kyoto-u.ac.jp
●三好 慶典
◇サイクル小委兼務
〒319-1195那珂郡東海村白方白根2-4
独立行政法人 日本原子力研究開発機構
東海研究開発センター原子力科学研究所
安全試験施設管理部 次長
TEL 029-282-5100(代) FAX 029-282-6111
cycle-info@jaea.go.jp
●山本 章夫
〒464-8603
名古屋市千種区不老町
国立大学法人 名古屋大学 工学研究科マテリアル理工学専攻
量子エネルギー工学分野 准教授
TEL 052-789-5121 FAX 052-789-3608
jimu@nucl.nagoya-u.ac.jp
●吉澤 善男
◇サイクル小委兼務
〒152-8550目黒区大岡山2-12-1 N1-16
国立大学法人 東京工業大学 原子炉工学研究所 教授
TEL 03-5734-3075 FAX 03-5734-3749(代)
yyoshiza@nr.titech.ac.jp
核燃料サイクル安全小委員会委員(再処理WGと兼務していない委員)
●明石 真言
〒263-8555千葉市稲毛区穴川4-9-1
放射線医学総合研究所 緊急被ばく医療研究センター センター長
TEL 043-206-3026(広報)FAX 043-206-4062(広報)
info@nirs.go.jp
●有冨 正憲
〒152-8550目黒区大岡山2-12-1N1-13大岡山キャンパス北2号館224号室
国立大学法人 東京工業大学 原子炉工学研究所 所長
TEL 03-5734-3059 FAX 03-5734-2959(事務室直通)
maritomi@nr.titech.ac.jp
●井川 陽次郎
〒100-8055千代田区大手町1-7-1
読売新聞社 論説委員
TEL 03-3242-1111(代)FAX 03-3216-7746(読者センター)
https://app.yomiuri.co.jp/form/
●塩見 哲
〒100-8126
東京都千代田区大手町1-6-1大手町ビル7階
財団法人 電力中央研究所 名誉特別顧問
TEL 03-3201-6601 FAX 03-3287-2863
https://criepi.denken.or.jp/cgi-bin/jp/inquiry/inquiry_entry.cgi
●関村 直人
〒113-8656文京区本郷7-3-1
国立大学法人 東京大学大学院 工学系研究科原子力国際専攻 教授
TEL 03-3812-6579(事務室)FAX 03-3818-3455(事務室)
sekimura@q.t.u-tokyo.ac.jp
●中島 健
〒590-0494大阪府泉南郡熊取町朝代西2丁目
京都大学原子炉実験所 教授
TEL 072-451-2300 FAX 072-451-2600
nakajima@rri.kyoto-u.ac.jp
原子力安全・保安院
●薦田 康久
〒100-8986千代田区霞が関1-3-1
経済産業省 原子力安全・保安院 院長
TEL 03-3501-1511(経産省代表)
https://wwws.meti.go.jp/nisa/index.html
●金城 慎司
〒100-8986千代田区霞が関1-3-1
経済産業省 原子力安全・保安院 核燃料サイクル規制課 課長補佐
TEL 03-3501-3512(内線4891~4897) FAX 03-3580-8484
saikurukiseika@meti.go.jp
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