5つもの極めて重大な保安規定違反に関する保安院への要望書
六ヶ所再処理工場における5つもの極めて重大な保安規定違反に関する原子力安全・保安院への要望書
原子炉等規制法に基づき、日本原燃への再処理の事業指定を取り消してください
原子力安全・保安院長 薦田 康久 様
2009年4月14日
日本原燃の再処理事業指定の取消を求める全国の市民(60団体)
4月2日、貴院は、日本原燃の六ヶ所再処理工場における5つもの保安規定違反を公表しました。今回の保安規定違反の内容は、極めて厳重に取り扱う必要のある高レベル廃液の管理が、極めて杜撰な形で行われていたことを、より一層明らかにするものでした。
保安規定で定められている保修作業実施計画書を作成しないまま、「安全上重要な施設の安全機能に係る保修作業」である高レベル廃液供給配管取り外し作業が行われていたこと、その結果として約149リットルもの高レベル廃液大量漏洩事故を招いたこと、明確な違反でありながら、保安検査が終了する時点まで違反行為の正当性を主張し続けたこと、そして、高レベル廃液漏洩事故を2回も起こした直後であるにもかかわらず、その後の洗浄作業についても保修作業実施計画書を作成せずに行ったこと、その結果、高レベル廃液を含む洗浄水を漏洩させたこと、さらには、現場担当者のみならず、再処理事業所のほとんどの幹部が関与して、これらの違反行為が行われていたこと等は、日本原燃の組織体質がいかに腐りきったものなのかを余すところなく示しています。
さらに、洗浄水の漏洩により、セル外の人が立ち入る領域にも放射線が漏れ、日本原燃によると管理目標値である500μSv/hに対し最大で約720μSv/hもの放射線が観測されています。漏洩した洗浄水を取り除くことはできず、高線量状態は今でも続いていると思われます。また、事故で漏洩した高レベル廃液のうち、回収されていない約131リットル分の放射性物質(明らかにされている3核種だけで約300兆ベクレル)の所在が未だに明らかにされていないという深刻極まりない状態にあります。
そればかりか、日本原燃は、4月10日付「追加報告」にて、保安規定違反への対応について一言もふれることなく、洗浄作業再開のための工事等を行う方針を明らかにしました。その中には、洗浄水の漏洩により高線量で汚染された領域に作業員を立ち入らせての作業も含まれています。
貴院は、2004年3月に、日本原燃の「品質保証体制点検結果報告書」を了承し、日本原燃の組織的欠陥は克服されたものとしました。しかし、その後も組織的欠陥に起因する事故が頻発し、遂には保安規定違反により高レベル廃液漏洩事故を起こすまでに至ったのです。日本原燃にはもはや組織的欠陥を克服する余地はないと考えます。
貴院は、日本原燃に、組織的要因を含めた原因究明と再発防止策を策定の上、4月30日までに報告書を提出することを求めましたが、事業の停止を命じてはいません。しかし、今回の違反の重大性を鑑みれば、最も厳しい措置をとってしかるべきであり、原子炉等規制法第46条の7の2に基づいて、原燃への再処理の事業指定を取り消すべきであると考えます。また、現在、貴院は、ガラス溶融炉への保守治具入口シャッタ設置の申請について認可手続きを行っている最中ですが、これの認可を行わないことは当然のことであり、さらに、既に認可した模擬廃液供給設備の設置や洗浄作業再開のための工事を含め、アクティブ試験再開のためのあらゆる作業を直ちに止めさせるべきです。
要 望 事 項
1.5つも極めて重大な保安規定違反が認められた以上、原子炉等規制法に基づき、日本原燃に対する再処理の事業指定を取り消すこと
2.ガラス溶融炉への保守治具入口シャッタ設置の申請を認可しないこと。洗浄作業再開のための工事を含めガラス固化建屋におけるすべての作業を中止させること。日本原燃に対して再処理の事業を停止することを直ちに命じること
3.日本原燃の組織的欠陥を容認し、試験を進めさせてきた原子力安全・保安院、核燃料サイクル安全小委員会、及び同六ヶ所再処理施設総点検に関する検討会の責任を明らかにすること
4.高レベル廃液漏洩事故で漏洩して行方不明になっている放射性物質の所在を全て明らかにすること
日本原燃の再処理事業指定の取消を求める全国の市民(60団体)
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