プルトニウム被ばく問題で、青森県議会は、19日に全員協議会、20日に臨時会を開きました。六ヶ所村議会は、20日に全員協議会を開きました。原燃、県に対し批判が集中しました。また、「再処理をする限り体内被ばくは起こる。お百姓さんが畑仕事をして泥が付かないことがないとの同じ」と説明した日本原子力技術協会の石川理事長に対しても批判が集中しました。鹿内県議は発言の撤回を求めましたが、石川理事長は開き直って抗弁しました。
【時評】体内被ばく問題 安全対策の努力怠るな/デーリー東北
■六ヶ所村議会全員協議会
六ケ所村議会全員協で原燃、国への不安続出/デーリー東北
体内被ばく問題で全員協/六ヶ所/東奥日報
議員からは「なぜ想定している事象なのに、事前に防止できなかったのか」「重大な事故にもかかわらず、(原燃の対応などを)妥当とする国の判断が早すぎる」などの批判が出た。
古川村長
「作業員の健康に影響はなかったが、原子力への不安感を増幅させた」
兒島社長
「反省すべき点があった。危機管理が一層重要となっている。また、教育問題は安全確保上、最も大きな課題だ」
薦田審議官(保安院)
「(第二ステップへの)ゴーサインを出したが、条件付き。試運転での不適合の何件かは処置未了となっている。(是正措置が)終わった段階で確認する」
■青森県議会全員協議会
県議会全員協/体内被ばく問題で原燃に批判/デーリー東北
議員からは「五月被ばく後、原燃は再発防止を誓ったのにまた起きた」「基本的な教育訓練ができていない」「国からも何度も『事業者を指導していく』と聞いたが、また問題が起きた」「県民の安全が守れなければ事業に協力できない」など厳しい意見が続いた。 県に対しても「(事業者寄りではなく)県民の立場で、対応してほしい」との注文が出た。
兒島社長
「教育は最も大きな課題。作業員の資格制度の導入など全力で態勢を整えたい」
三村知事
第二ステップ開始について、「技術・技能認定制度の実施状況を国が確認すると聞いている。極めて重要で、国から県に報告があるだろう。慎重な上にも慎重に対応する」
「体内被ばく避けられない」専門家が強調/デーリー東北
石川理事長に批判集中/「再処理」県議会全員協/東奥日報
青森県議会議員全員協議会で答弁に立った日本原子力技術協会の石川迪夫理事長は、「機械は故障し、人はミスをするものだ」と述べ、今後も再処理工場が続く限り健康に影響がない程度の少量の体内被ばくは避けられない、との認識をあらためて示した。
石川理事長は四日にも三村申吾知事に「再処理をする限り体内被ばくは起こる。お百姓さんが畑仕事をして泥が付かないことがないとの同じ」と説明。
鹿内博県議(無所属)が撤回を求めたのに対し、石川理事長は「お百姓さんを侮辱したわけではない。比喩(ひゆ)で言った。土は食料を作るエネルギー源だが、プルトニウムも電気を作るエネルギー源で、まったく同じ」と話した。
日本原燃などが、フランスの再処理工場で年間約百件の体内被ばく事象が発生しているとしたのに関して、山内和夫県議(自民)は質疑の中で「日本とフランスは違う。日本は被爆国。絶対に(被ばくを)出さないということが大切だ」と強調。中谷純逸県議(同)は「被ばくは当たり前だと(専門家から)コマーシャルされているようだ。そうであってはならない」と述べた。
石川理事長は今月四日、六ケ所再処理工場の安全管理体制の評価結果を三村申吾知事に伝えた際、「再処理を続ける限り、内部(体内)被ばくは起こる。皆無にすることは不可能」と発言し、波紋を広げた。
中谷純逸議員(自民)
「この時期に、体内被ばくがあるのは当然-という話をするのは、県民の感情とは違う」と批判。
渡辺英彦議員(社民・農県民連)
「日本は被爆国であり、本県も放射能、放射線には非常に神経質だ。そういうことを無視した無頓着な発言だ」
鹿内博議員(無所属)
「お百姓さん」発言をとらえ、「農家にとって土は命だ。これとプルトニウムを一緒にした発言を撤回してほしい」
石川理事長
「土は食糧をつくる大切なエネルギー源だが、プルトニウムも核分裂によって電気をつくるエネルギー源。お百姓さんを侮辱したわけではない」
「土の中にもたくさんの放射能が入っている」とも付け加えた。
【県議会全員協の答弁要旨】/デーリー東北
―再発防止策でマスク着用を「当面」としたのはなぜか。
原燃 マスクを着けての作業は非常に息が苦しく、会話にも支障が出る。作業員の教育を十分に行った上で、いずれ外して作業させたい。
―協力会社社員のレベルアップが重要だ。
資源エネルギー庁 再処理工場や原発のメンテナンスは地元の協力会社の技能向上が大切。本年度から、社員研修を行う地域を支援する三年間のモデル事業を創設した。
原燃 いま地元に実績のある技術集団がない。(原燃の)子会社をモデル事業の受け皿にして、地元企業の方の教育訓練を行い、技術集団をつくりたい。
―今回の問題を岩手県民にも説明すべきだ。
原燃 三陸沿岸に配る新聞に折り込みを入れることを検討する。
―十月から県内に常駐する経済産業省原子力安全・保安院の管理職の位置付けは。
保安院 再処理の安全に責任を持ち、保安院の代表として常駐する。
―安全協定の報告対象でない低レベルの被ばくが問題になるなら、協定を見直してはどうか。
青森県 現時点で見直す考えはない。協定に該当しない事象でも、(事業者には)必要に応じて厳しく対応する。
自民会派が松尾県議発言の議事録削除求める/デーリー東北
松尾議員に自民反発/「再処理」県議会全員協/東奥日報
【各会派のコメント】/デーリー東北
納得できない答弁 自民党 神山久志議員総会長
体内被ばく問題の原因が究明されなければ試運転が次の段階に進まないことが明確になった。だが、国や事業者の答弁は県民が納得できるものとは言えない。県民の理解が得られるよう、さらに努力すべきだ。
国は責任逃れ 新政会 斗賀寿一会長 国の答弁に責任逃れのような部分が見受けられたのが残念だが、事業者は適切に情報公開をしながら試運転を進めてほしい。議論をみれば、臨時議会でなくとも、従来通り議員全員協議会のみでよかったのでないか。
人為的ミス現実に 公明・健政会 間山隆彦代表
安全協定を結ぶ時点からヒューマンエラーについて指摘してきた。現実となったのは残念なこと。だが、再処理工場は今のエネルギー問題の要。国民が安心できる施設にするため国と事業者は努力してほしい。
容認できない発言 社民・農県民連合 渡辺英彦代表
「被ばくはまた起こりうる」との専門家の発言は県民感情として容認できない。(中立な立場のはずなのに)事業者の肩を持つようなもの。国や県、事業者からは相変わらず明快な答弁がなく残念だ。
確実な安全対策を 真政クラブ 山谷清文代表
県民の不信感がこれだけ大きくなっている中で、事業者の最大の努力目標は、不信感を厳粛に受け止め、安全対策を的確に進めること。事業者は、第二ステップまでに安全対策を確実なものにしなければならない。
移行認められない 共産党 諏訪益一県議団長
作業員に対する初歩的な教育がなされていない。技能・技術試験も全員ではなく分析作業員だけ。何の対策もとられないまま、第二ステップに移行することが明らかになった。移行は到底認められない。
県にも責任がある 無所属 鹿内博議員
専門家の発言は県民感情を理解しているとは思えず、監査を要請している県にも責任がある。ただ、国側が事業者に対し、作業工程の各ステップごとに報告を求める意向を示したことは一歩前進したと言える。
県議会が原燃に安全確保求め決議文を提出/東奥日報
自民県連が県議会に安全確保求める決議案提出/デーリー東北
国に意見書、原燃に決議案提出へ/県議会自民会派/東奥日報
県議会が再処理の安全確保求める決議案可決/デーリー東北
体内被ばくで県議会正副議長が原燃に決議文/デーリー東北
傍聴の下田参院議員「国は責任の意識薄い」/デーリー東北
「国は責任回避発言」/下田参院議員が傍聴/東奥日報
臨時県議会開会 体内被ばく問題など議論へ/デーリー東北
被ばく問題を集中審議/県議会/東奥日報
体内被ばく影響 再処理第2ステップずれ込み/デーリー東北
再処理集中審議へ臨時県議会開会/東奥日報
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